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ライヴは音楽の命

BABYMETALの日本武道館公演に寄せて

終わった。無事に終わった。その時、安堵と喜びが同時に押し寄せてきた。

2021年4月15日の夜、自宅で細目にSNSの書き込みをチェックしながら、BABYMETALの日本武道館最終公演が無事に終わったことを知った。

結成10周年を迎えたBABYMETALは今年の1月から4月に掛けて、10回の公演を日本武道館で行った。
コロナ禍の中、開催直前には「本当に開催できるのか?」「大丈夫なのか?」というファンの声が聞こえていたが、彼女たちは開催に踏み切った。
そこには、メンバー、スタッフ、関係者の相当の覚悟があったのだと思う。

開催においては細心の注意が払われた。
入場観客数の制限、開演時間の前倒し、入場時の検温、アルコール消毒、マスクの二重着用、等々、考えられ得る限りの感染対策が実施された。

何故、そこまでして、彼女たちは観客有りのライヴに拘ったのか。
無観客によるライヴ配信という手段もあったのかもしれない。
だが、BABYMETALはライヴが命である。動画や音声には収まりきらない凄まじい迫力が、彼女たちのライヴにはある。

そのことを初めて知ったのは、今から5年前に見た「LEGEND ”I”」と題されたライヴ・ビデオ。
ただならぬライヴの熱狂と盛り上がりに、私は思わず画面に吸い込まれそうになり、「BABYMETALの本当の良さはライヴでないとわからない!」と直感した。

ところで、話しは変わるが、
私が尊敬する音楽家にチェリビダッケというクラシックの指揮者がいる。
彼は1980年にロンドン交響楽団を指揮して来日したヨーロッパを代表する指揮者であり、
「ホールの音響に左右されるものをマイクの直接音収録で記録するのには限界がある」と考え、ごく少数の例外を除いてレコーディングは行わなかった。彼は観客がコンサートホールで音楽を生で実感することこそが、音楽の命だと考えていたのだと思う。

YouTube等で動画や音声を手軽に手に入れることができるようになった今、チェリビダッケのような考え方は時代遅れかもしれない。だが、やはりライヴ無しのロックは、私には考えられない。

RAINBOWの「Kill the King」だって、スタジオ盤よりライヴ盤の演奏の方が、何百倍も迫力があっていい。あんな演奏をコンサートホールで直接体験することが出来たなら!とメタル好きなら誰だって思うだろう。

BABYMETALのライヴは生きている。
生きているライヴは、その場で体験しないとわからない。
彼女たちのライヴは、毎回、毎回、違った演出に基づいた緻密なパフォーマンスが展開され、何時も見る側が驚かされる。何度見ても楽しい。

そうは言っても……
今回は、コロナ禍での開催で何時もと状況が少し違っていた。
何人かの知り合いは止むなく公演をキャンセルし、私自身も感染防止を考慮して、何回かの公演はキャンセルして、3回の公演に参加することにした。

参加した公演は少なかったけれど、何れも素晴らしい内容だった。

武道館の中央にステージが配置され、彼女たち三人は東西南北の何れの方向にもダンス・フォーメーションを変化させながらステージを縦横無尽に駆け巡り、SU-METALは激しく動きながらも全く息切れすることなく突き抜けるハイトーンで歌い上げ、バックバンドは常に正確無比な演奏を繰り広げた。

そして、会場の四方八方から照射されるライトがステージを鮮やかに彩ったかと思うと、立ち込めるスモークと相まって、幻想的で神秘的な空間を創りだす。ダンス、歌、音楽、ライトが一体となって創り出す芸術を見ているかのようだった。こんな演出は、これまで見たことがなかった。驚きと興奮の連続だった。

もっと見たい!という衝動に駆られながらも、全10公演が無事に終わったことが、今はとても嬉しい。新型コロナとの戦いはこれからもずっと続いていくと思うが、この世にライヴがあれば、コロナとの戦いに負けることはないと思う。

最後になるが、6月26日に武道館公演のライヴ映像が配信される。
二ヶ月先が待ち遠しい。
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