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Official髭男dismの言葉遊び

広がるPretenderの視点

Official髭男dismというピアノポップバンドがそこにある。
彼らの音楽には中毒性があり、気がつけば洗練されたイントロ、ドラマティックなメロディ、優しくも力強いヴォーカルが頭の中を駆け巡ってやまない。
彼らの音楽がさんざん私の思考回路を駆け巡った結果、スマホを使い実際にその音色を鼓膜へと浴びせてやらねば1日を終わらせることが不可能となった。まさしく中毒だ。

そんな日々を続けているうちに、ボーカル藤原聡が紡ぎ出す『詩』の、独特な視点や言葉選びに意識が向いた。
彼の詩を読むとハッとさせられる。愉快な気持ちとも表現できるかもしれない。
驚くべきは、誰もが一度は着手するであろうテーマ、直接的に言うならばごくごくありふれたテーマを扱っておきながらだ。
そういった他者との差別化が難しくなるテーマも、藤原聡の手にかかれば創作物としては新たな局面を迎えることができる。

例えば彼らの代表曲[Pretender]の歌詞に注目して頂きたい。
この曲の1番だけでも彼特有の視点が複数存在しているが、そこでは真っ直ぐな表現を許していない。


<もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった>

ここでは設定や世界線という言葉を使うことで俯瞰的な角度を用いながら、あくまで主観的な願望を歌っている。


<君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ>

サビの始まりでは主役である「僕」が「君」の視点から運命の人が「僕」じゃないことを歌う複雑な切り口でありながら<でも離れ難いのさ>と後に「僕」としての気持ちを示すことで、一連の流れをまとめる役割を果たしている。


<それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ>

サビの後半では主観的な「僕」の視点で<僕にとって君は何?>と自分にも分からぬ自分の答えを探すような展開と思わせながら<分かりたくもないのさ>と、既に出ていた答えを心の奥に蓋をしたくなる心情を吐露している。


これらは藤原聡の詩が言葉遊びとしても高度で鮮やかであることを証明する一端に過ぎない。
しかし、Official髭男dismが世に送り出す珠玉の名曲たちはこのように聴けば聴くほど新たな発見があり、それを自分で確かめたくなる好奇心をくすぐり続けてやまないからこそ愛され、聴く者を中毒症状へ導くのではないだろうか。
我々はOfficial髭男dismをどれほど堪能したのか、それを山に例えるなら我々は何合目まで到達したのか、皆目見当もつかないのである。
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