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新曲に感じた決意

リアド偉武が[Alexandros]に正式加入した今、BIGMAMAを聴く

前ドラマー庄村聡泰の活動休止以降、サポートを務めてきたリアド偉武が先日、[Alexandros]に正式加入した。昨年の5月10日、母の日にBIGMAMAを脱退してからちょうど11カ月後の4月10日の発表であった。母の日はBIGMAMAにとって例年ライブを行ってきた特別な日。今年の母の日の1カ月前にこの決断を発表したのも、リアドなりの思いがあったのではないだろうか。
その発表直前の4月7日、BIGMAMAは新EPから「Best Friend (what will be will be) 」を先行配信した。この新曲にBIGMAMAが託した意味を考えたい。



2019年6月、J-ROCKシーンに衝撃を与えたサトヤスのライブ活動休止の発表。私自身もこの発表にはショックを受けたが、その後、盟友BIGMAMAからリアドがサポートを務めるという知らせに大きな期待も抱いた。

BIGMAMAはメロコア・ギターパンクをルーツに、クラシック(ストリングス)を取り入れた独自の音楽性で人気を集めてきた。
「王子」と称され、カリスマ性を放つフロントマン金井政人という存在。彼の書く文学的な歌詞と、近年徐々にポップス要素を取り入れつつ、ストリングスのメロディーを聴かせる楽曲。この特徴あるメンバー、楽曲の中で、リアドはいい意味で目立たず、縁の下の力持ち的な役割を果たしてきた。
一方、[Alexandros]はUKロックに影響を受けた、いわば「王道ロック」。このバンドのなかでもサトヤスは、独特のドラムセッティングとプレイ、加えて派手なファッションも注目される、「目立つドラマー」だった。

リアドがサトヤスの後を受け、[Alexandros]の楽曲の中でどのような演奏をするのか、純粋に楽しみだった。彼の実力は周知の事実だったし、レーベルメイトのBIGMAMAからサポートに入るのも自然に思えた。(もっとも、残念ながら現在に至るまで、筆者はリアドがドラムスを務める[Alexandros]のライブには参加できていない。)

しかし、この年の12月、リアドはBIGMAMAからの脱退を発表する。これは話が違う。ファンはみな「リアドは[Alexandros]に移るのかな」と思っただろう。
最後のパフォーマンスは、2020年5月10日、母の日に行われる「Roclassick tour 2020」のツアーファイナルの予定だった。だが、ご存じのとおり、新型コロナウイルス流行の影響でツアーは中止、当日はライブを行うことなく、ひっそりとリアドはBIGMAMAを脱退した。

そして予想通り、先日、リアドの[Alexandros]正式加入が発表された。

2年弱を費やし、BIGMAMAを離れ、[Alexandros]に加入したリアド偉武。この時間が彼の葛藤と決意の強さを物語っているのではないだろうか。
BIGMAMAファンからすれば、[Alexandros]がBIGMAMAからリアドを奪ったと見えるのは仕方がないと思う。
しかし、私自身もそのファンの一人だからこそ、新曲「Best Friend (what will be will be) 」からBIGMAMAの愛とこれからの決意が感じられた。

新曲「Best Friend (what will be will be) 」は、各公式メディアのリリース情報から引用すると、「BIGMAMAの新境地ともいえるポップで弾けるサウンドにバイオリンが絡む、前向きに背中を後押しする “大切な友達に捧ぐ” メッセージソング」と紹介されている。大前提としてこの歌詞中の「大切な友達」がリアドのことを指すとは限らないし、それを知る術もない。彼ら自身も多くは語らない。そのとき、片翼を失ったバンドが再び飛び立つ姿を素直な気持ちで応援できるように、楽曲からメッセージを見出す――それがたとえ妄想でも、我々傷心のファンはそこにしか救いを求められないのだ。
そして、そんなファンを支えてくれるメッセージがこの楽曲にはあると私は思った。

曲の1番では「親友」が抱く悩みを何も言わなくとも感じ取れる、2人の関係性が描かれている。(―以下、引用は「Best Friend (what will be will be) 」の歌詞から。)

  「目を見ればわかるさ 何気ない一言に傷ついて」
  「隠し事なんて無駄さ 何も言わなくたってわかるもんさ
   涙が枯れるまで とことん付き合うからさ」

2番では悩みを抱え込む親友に対して、助言をし、また衝突もあったことを思わせる。

  「言い訳が過ぎるな 自分勝手に自己中で自己嫌悪
   グダグダ言うなよ カミナリのち助太刀」

サビで繰り返される「the best friend(親友よ)」「a piece of mine(僕の一部よ)」、まさに以心伝心、一心同体の関係性が見える。全体を通じて、「近すぎるからこそぶつかったり、鬱陶しくなったりすることもあるけれども、結局は大切な存在に変わりはない」、という共感しやすくかつ、理想的な親友像が描かれている。

そして、曲の中盤から後半にかけて、2人の関係性を以下のようにまとめている。

  「I my me mine I am I you are you 僕は僕が僕である限り
   全てはno problem 問題はない
   you your you yours I am you are you am I
   君が君で君らしくいられたら
   全てはno problem 問題はない」
  「the best friend
   君といると 時間は宝物に変わっていく」
  「一人で抱え込むのはもう止めにしようか
   味方はここにいるから」

曲の前半には「自分の一部」とまで言っていたが、最後にはお互いが「自分らしくあること」、それだけで問題はないと語る。一見突き放しているようにも思えるが、それでいて2人でいた時間は「宝物」だと肯定している。この表現に一心同体だった2人が別々の道を歩み始めようとしている様子を思わせる。



この楽曲を聴いた後、金井のブログを読んだ。(以下、4月17日投稿の金井政人のnoteから引用。)

  「いくつかのインタビューで、
   去って行ったメンバーのことを聞かれる。まあ、そうなるよね。
   でも僕らの時間軸で言えば一年以上、いやもうちょっと前の話。
   例えが悪いかもしれないけれど、
   どこか昔の彼女のことを聞かれるのに似ている。
   良く言ったところで未練がましくて気持ちが悪いし、
   悪く言ったところでも品がないように思うし、
   ペラペラ喋りすぎること自体、何だかちょっと気が引ける。」

この投稿を読み、改めて楽曲を聴いた。MCで多くを語らず、伝えたいことは曲にのせて伝える、そんな彼らのライブを見た後のあの感覚と同じものを感じた。

先にも書いたとおり、BIGMAMAは徐々にポップス要素を取り入れ、楽曲制作を行ってきた。そして、新曲「Best Friend (what will be will be) 」では、「新境地ともいえるポップサウンド」にのせて、去り行く「親友」へ最大限のリスペクトをしつつ、お互い「自分らしく」前へ進んでいく決意を歌詞に込めた。
「what will be will be(なるようになるさ)」――BIGMAMAが再び飛び立つ先に迷いはない。
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