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" Curtain Call "

この曲から紐解くSHE'Sの人間性と彼らが歩んできた10年間について

2021年2月22日。大阪府吹田市のメイシアターにマイクを通さず

" あなたが光なんだ "

そう歌い上げた人がいる。それがSHE'Sのkey&voの井上竜馬である。私の何よりも大好きな人だ。

私はこの日の地元吹田での公演と、その一個前、残念ながら配信ライブという形となってしまったRe:rebootオーラス大阪公演でのCurtain Callの話をしながら、彼らが歩んだ10年間について勝手に振り返ろうと思う。

知らない人のために書いておくと、このCurtain Callという曲は彼がメジャーデビューする前、音楽を続けるべきなのかどうか悩んで、辞めたくて、バンドメンバーとも連絡も取らず、制作することもやめたとき、ふと部屋の隅に埋もれていたファンレターを読んだ後に書かれた曲だ。そう、オタクならきっと誰もが自担に歌って欲しいと願うファンに向けた曲だ。

私はこの曲が、人生今まで生きてきて聴いてきた音楽の中でいっちばん好きだし、今後どれだけたくさんの名曲が誕生しても、全アーティストを含めた中での1番好きな曲は?と聞かれたらこの曲だと答える自信がある。それくらい大好きで大切な曲だ。

何故ここまで大好きで執着しているのか。それは単にこの曲がファンに向けた曲だから、というわけではない。この曲を歌う時の彼そのものが本当に何よりも大好きで大好きでたまらないのだ。

普段はピアノ、ギターを弾いたとしてもOver Youなどでアコギをちょっと弾くくらいの彼が、ほとんど唯一と言っていいほど、唯一エレキギターを持ち、長めのネックストラップにマイクに人中をくっつけながら上向きで歌うあの姿。どの曲を演奏する時よりも、愛おしそうな顔で、柔らかい、優しい顔でフロア全体を見渡しながら歌う、どこか売れないバンドのフロントマン感を醸し出すこの曲が本当に本当に大好きなのだ。

SHE'Sは正直遅咲きのバンドだと思う。世の中には、流星の如く現れて一世を風靡して爆発的にヒットして割とその後すぐいなくなってしまうバンドもある中で、失礼を承知で言うが、爆発的ヒットもせず、(売れないと焦った時もあったが)ただ着実に井上竜馬が作りたい、好きな音楽を作り続けて、小さい一歩ではあったが着実に前に歩き続けた、そんなバンドだ。

爆発的にヒットした訳ではない彼らだからこそ、このCurtain Callというデビュー前に書いた曲を今も大切に歌ってくれるのだと思うし、そんな彼らだからこそこの曲ができたのだと思うし、彼らだからこの曲のこの雰囲気は醸し出せるんだと思うし、彼らにしかこの曲は歌えないんだと思う。

私が彼らに出会ったのは今からおよそ3年半程前、メジャーデビューして少し経った頃だった。初めてSHE'Sの曲を聴いた時に、井上竜馬氏の声に一目惚れして、虜になって、そこから彼らの曲をたくさん聴くようになった。

高校時代は部活がとても忙しく、ライブなんて行けたもんじゃなかったし、周りにSHE'S好きな子がいなかったから一緒にライブいく子もいなくて行ったことがなかった。その後友達を1人好きにさせることに成功し、2020年5月8日rebootツアーオーラス公演、Zepp Tokyoで本来初対面するはずだったが、コロナウイルスのせいで中止となってしまった。その後、Re:rebootツアーの東京公演で、ようやく1人ではあったものの大好きな井上竜馬に会えることに、彼の生歌を聴けることになった。

生の彼らは、びっくりするほど画面で見てきたのと変わらず等身大の彼らだった。ただ私はやっと、やっと生でCurtain Callを聴けると思ってたから、Curtain Callが聴けなくて少し悲しかった。

それでも井上竜馬に会いたくて、彼の歌を聴きたくて一般販売でオーラス大阪公演のチケットを勝ち取ることができた。そんな中、11月末ごろから大阪でコロナウイルスが猛威を振るい、オーラスの大阪公演は中止、配信ライブとなってしまった。

ただ画期的だったのが、マルチアングルカメラでの配信ライブだったと言うことだ。簡単にわかりやすく言うと、推しカメラが出来た、と言うことである。この推しカメラについては後ほど書こうと思う。

配信ライブだと、基本アンコールがあることが少ない。本来、アンコールというのはお客さんが声を出して希望することでアーティストがはけた後にもう一度数曲演奏してくれるものであるから、コールがなきゃ始まらないから仕方がないことだと思う。

しかしこの日の公演では、本編ラストの演奏が終わった後も配信は続いていた。5/8(6/5に延期が確定)と6/26にやる野音公演決定のお知らせをし、その後もう一度彼らが登場して2曲演奏したのだ。

アンコール一曲目が終わった後、有観客で行われた際はStand By Meというこれまたファンに向けた曲で締めたことからも、私は今回もStand By Meで締めるのかと思っていた。しかし実際は、井上竜馬はお水を飲んだ後暗転している中スタッフからエレキギターを受け取っていた。となると、やる曲は一曲しかありえないのだ。

そう、演奏したのはStand By MeではなくCurtain Callだった。

私がこの曲を好きな理由として、何よりも愛おしそうな顔で、柔らかい表情で彼がこの曲を歌うことをあげた。

生のライブだと、当たり前だが自分で視点を定めることができる。バンドマンなのにこういう感性を持つのはおかしいと思うが、わたしはSHE'Sというバンドが好きなのは大前提であるが、その中でもダントツで、何よりも井上竜馬という存在が好きだからライブではいつも他の楽器隊には目もくれずずっと井上竜馬氏を追っていた。

ところが配信ライブだとそうはいかない。スタッフさん達が自動で切り替えるから、ライブ中ずっと井上竜馬氏だけを見る、ということはできなかったのだ。

しかしこの配信ライブでは、いわゆる推しカメラなるものが導入されたため、例えばギターソロの最中でも、井上竜馬氏の定点カメラを選択すれば彼だけを見ることができる。

私はCurtain Callの中でも特に、ギターの栞汰さんがソロを演奏しているところから

”何度もこの日々に憂い 足は止まって”
“何度もその度に 救われてきたから”
“何度でも何度でも 声を枯らし叫ぶよ”
“あなたが光なんだ”

と歌うこのラスサビ前が大好きである。それは、ギターソロの最中カチャカチャギターをかき鳴らしながらステージを移動し、フロアにいる全員を優しい顔で見渡しながらこのフレーズを何よりも心を込めて歌う彼が好きだからである。

ギターソロが始まった瞬間、彼の定点カメラは下手の舞台袖に設置してあったのだが、定点カメラの方に歩いて近付き、私の大好きな愛おしそうな表情をしながら、彼は栞汰さんの方を指さした。まるで"彼を見て"と言っているようだった。本当にドキッとした。

そして彼はその後力強く誰もいない観客の方に向かって、"あなたが光なんだ"と歌い、この曲を演奏し終えたのだった。

終わった後、本当に何も出来なかった。大好きな人が何よりも大好きな曲を歌ってくれたことが信じられなくて放心状態だったし、泣きすぎて頭は痛いし本当に考えても考えても涙しか出てこなかった。

ただ、改めてこんなにも私たちファンを大切にしてくれる彼らに出会えて良かったと思ったし、好きになれてよかったと、出会えて好きになってこうして今彼らと同じ時間を共有している私は本当に幸せ者だと感じた。

そしてその後新年を迎え、10周年キックオフ公演として彼らの地元吹田での公演が決まった。

私は都内在住であること、そしてその時も今も変わらずコロナウイルスが猛威を奮っていて、都内では緊急事態宣言が出されていたこともあり、申し込むべきか悩んだ。だけど私は、彼らの地元で彼らを見たいという欲に正直戦うことなくあっさりと負け、そして何よりきっとCurtain Callをやってくれるだろうと、生でどうしてもCurtain Callを歌う彼が見たくてこの公演に参加することにした。

そして当日、初めて1人で大阪に行き、慣れない大阪の電車に揺られながら彼らの正真正銘地元の吹田市に降り立った。

アンコール一曲目が無事終わり、暗転している中お水を飲んだ後だった。彼はエレキギターをスタッフから受け取ったのだった。

私はその瞬間、本当に1人声を漏らしながらその場に泣き崩れてしまった。生で見たいと願って願い続けていたCurtain Callを、ようやく生で聴くことが出来たのだ。

正直、エレキギターをスタッフから受け取った瞬間に泣き崩れてから、本当に周りの方には申し訳ないくらい制御してもしきれなくて、声を出しながら泣いてしまっていたからあまり記憶がない。歌う前からずっと私たちファンに感謝してくれた井上竜馬氏も、ずーっと愛おしい顔で、優しい顔で歌ってくれたのも、本当に私が1番大好きな井上竜馬で、泣きすぎて視界が0だった。

そしてギターソロが始まり、彼は今までのようにステージ上を行き来して、あのホールにいた全員を優しい顔で見ながらエレキギターをかき鳴らしていた。驚きなのはその後である。

ギターソロが終わると、ギターの栞汰さんも、ベースの臣吾さんも、ドラムのキムも手を止めて、井上竜馬氏はマイクを置いた。

彼がたった1人、マイクを通さずに歌い上げたのだ。

会場中からすすり泣きの声が聞こえる中、誰よりも大きい声で泣いてしまった。本当に私の周りにいる方は、彼の歌声より私の泣き声の方が大きかったんじゃないかと考えると申し訳なさすぎて顔向けできないが、もうこの先こんなに心を動かされることはないんじゃないかってくらいマイクを通さず1人歌い上げた井上竜馬氏に心を動かされ、ボロ泣きした。普段どんだけ念入りに洗顔しても残ってしまうマスカラが、綺麗さっぱり取れてしまうくらいには泣いた。

正直、ここ最近SHE'Sが売れてきているな、という感触があった。昨年夏に発売されたTragicomedyが今までで1番の売り上げを出したり、野音をワンマンでできるようになったり、当時は知らなかったが2期連続主題歌が決定したり、何より"青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―"、火曜9時フジテレビの主題歌の書き下ろしを任された、ということが決定的だった。

こんなことを思うのはファン失格だと思うが、どんだけ彼に" 遠くへ行ってしまった、じゃなくて一緒に遠くへ行きたい "と言われても、過去に自分が好きだった無名のバンドが世界的に有名なバンドになってしまって寂しい思いをしたことがあるから、大きくならなくても彼がそのままでいてくれればそれでいいと思ってしまう自分がいた。

だからこそここ最近の彼らの勢いには圧倒されたし、正直少し寂しくて、でもそう思う自分のことが大っ嫌いで、答えは出ず病むばかりで気分が落ちていた。

実際に吹田公演でも今までより照明が派手になってたり、グランドピアノを置けるようになってたり、この公演だけ見ても彼らが大きくなったことを実感して寂しくなった私がいた。

でも彼は、アンコールラストにCurtain Callを選んで歌ってくれた。しかもアンコール2曲は配信に含めず、目の前にいるわたしたちにだけ集中して歌うと言って歌いきってくれた。

この時の彼は、売れても私の大好きな、本当に何よりも大好きな井上竜馬のまんまだった。
本当に、何にも変わらなかったのだ。デビュー発表をしたあの渋谷クラブクアトロのライブでのCurtain Callと何ら変わらない、井上竜馬がそこにいたのだった。

それがSHE'Sが歩んできた10年間であり、彼らそのものなんだと思う。

売れずに悩んだこともあった。世間ではポップな音楽が売れることからメジャーデビューして2作目のミニアルバムでは"Over You"や"Beautiful Day"のポップな楽曲を書いてみた。それでも思うように売れず、売れることを意識せずに曲を書くようにした。世間に合わせるのではなく、売れることを半ば諦め、自分の作りたい曲を作ることにした。そしてそれが楽しいとあらためて感じた。

そんな彼だからこそ、Curtain Callが作られてから時間が経ってたくさんの楽曲が誕生しても、この曲を大切に今まで歌い上げてきたんだと思う。目の前にいる私たちを、ファンを大切に音楽活動を続けてきたんだと思う。

彼が売れることを半ば諦め、本当に自分が作りたい曲を作るようになった、自分の好きな曲を作るのが楽しいと実感したWanderingあたりから、少しずつではあるが彼の作る楽曲が知られるようになり、ファンを増やしてきた。

そしてそんな彼の思いを汲み取り、彼に託したいと思い主題歌を担当させてくれるドラマ制作の方がいる。

本当に有難い話だし、これは何よりも彼が着実に10年間目の前にいる人を大切にし続けた結果なのだと思う。

こんなに応援していてよかったと思うバンドがいるだろうか??自分たちファンを大切にしてくれて、例え物理的に遠くなってしまっても、いつでもファンに感謝して最後にファンに向けての曲を歌ってくれるのは彼らだけだと思う。

ついこの間まで売れるのが寂しくてしょうがなくて売れなくてもいいのにと思っていたのに、彼らはきっと売れても変わらずアンコールラストにCurtain Callを歌ってくれるだろうと、変わらずファンを大切にしてくれるだろうとこの吹田公演で確信したからこそ、今はどんどん大きくなっていくSHE'Sを見守り1番そばで応援するのが楽しくて、嬉しくてしょうがない。

今もテレビ東京で深夜に放送されているラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~のエンディングテーマを担当させていただいている。さらにはカンテレで放送中の情報番組、"2時45分からはスローでイージーなルーティーンで"の番組テーマソングの書き下ろしも決定している。きっとまだ発表されていないだけでおそらくたくさんのタイアップや新曲が決まっているのだろう。

今年SHE'Sは結成10周年を迎える。
きっと、私にはわからないくらい辛いこともやめたかったこともあったと思う。
それでも彼が音楽を続けてくれて、私と出会ってくれて本当に良かったと思う。

この10年間、もしかしたら彼らが思うように売れなかったかもしれない。それでも売れることよりも目の前にいる私たちを大切にし、自分が作りたいものを作り続けてきた結果、今やっと、ようやく彼らに" 追い風 "が間違いなく吹いてきた。

そのことを私は誇りに思うし、これからきっととんでもないスピードでどんどん大きくなっていくであろう彼らを見守るのが楽しみである。

井上竜馬氏は、" あなたが光なんだ "と歌う。
でも間違いなく、私にとっても" あなたが光 "なのだ。

出会ってくれてありがとう。
これからの快進撃を、1番そばで見守らせてください。
本当に何よりも大好きです。
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