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そこにいてくれるもの

BUMP OF CHICKEN「なないろ」

折り畳み傘をしょっちゅう見失う。
大抵は、遠出するのに持っていって旅行鞄に入れっぱなしとか、そうでなくても仕事や普段使いのリュックの底にじっと収まっている。色んなものを詰め込んでしまうので、そういえばどこへやったっけと探しているときは、他の荷物に阻まれて出てこない。特に薄型とかコンパクトタイプのとか、実は意思を持って私の手から逃げ回っているのじゃないかとさえ思ったりする。そんなわけないし、そもそもきちんと整理しておけばいいだけだけれども。

大好きなBUMP OF CHICKENの新曲「なないろ」がリリースされた。NHKの朝ドラの主題歌だ。日差しきらめくこれからの季節と、朝の時間にぴったりな、爽やかでカラフルな歌だ。
その「なないろ」にこんな歌詞がある。

"高く遠く広すぎる空の下 おはよう 僕は昨日からやってきたよ
失くせない記憶は傘のように 鞄の中で出番を待つ"

あまりにすとんとイメージがついた。
私は昔から整理整頓が苦手だ。頭の中も鞄の中も、ごちゃごちゃしていることが多い。その隅っこで、たいていは忘れられて、出番を待っている傘。雨が降りそうだから持っていこうかなと思うと、どこに行ったのか分からない傘。でもある時ひょっこり出てきて、雨とか雪とか雹とか、もしかしたら強い日差しからも守ってくれる傘。

私にとってその傘は、BUMP OF CHICKENの音楽そのもののように思う。
といっても、ここまでの文脈そのままで言えば、いつもは忘れていることになっちゃうので、それはちょっと違う。いつか彼らがそう言ってくれたように、いつでもそっとそこにあって、出番を待っていてくれる。そして、知らないうちに雨に降られているところを、そのまんまだと風邪ひくぜって、傘を差し出して気づかせてくれるものだ。

"闇雲にでも信じたよ きちんと前に進んでいるって
よく晴れた朝には時々 一人ぼっちにされちゃうから"

この歌が私たちに届けられた日、私はまさに一人ぼっちの気持ちでいた。
私の周りには、すごい人が沢山いる。努力したり工夫したりして、目指すところにぐんぐん進んで行ったり、あるいは、今いる場所を守ろうとしている。そういう人が身近にいる、繋がりがあることはとても誇らしいことで、同時に、じゃあ自分はどうだろう、と考える。毎日手一杯で、でも、立ち止まっているわけじゃないんだぞと自分に言い聞かせて、それでも時々、自分一人がずいぶんと色褪せて見える。
そういう気持ちをまた見つけられてしまったのだ。そのままにしておくと冷えちゃうよ、って。

"涙の砂 散らばる銀河の中 疲れた靴でどこまでだっていける
躓いて転んだ時は 教えるよ
起き方を知っている事"

この文章を書きながら、実はまだ、ひとりぼっちの気持ちを上手く整理しきれていない。でも、もやもやと重たくて苦いものの正体が分かったから、今は眩しいみんなと同じようにできなくても、あとは、どうやって元気になっていたんだっけかと思い出すだけだ。その方法を、私は知っているはずなんだ。

そんなあれこれで、ああまたやられたなぁと通勤電車で涙をぐっと堪えることになったわけだけれども、大好きな人たちの歌が毎朝流れると思うと、勝手に自分のことみたいに嬉しい。「おかえりモネ」と一緒に「なないろ」が、人の温度をつなぐあたたかい彼らの歌が、より沢山の人に届くといいなと願わずにいられないのである。

(本文中の歌詞はすべて、BUMP OF CHICKEN「なないろ」より)
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