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クイーンとエレファントカシマシと

映画ボヘミアン・ラプソディを観ながらフレディと宮本浩次を想ったこと

45年間、クイーンだけが好きだった。そんな50代半ばの女が、ROMANCE以来、宮本浩次とエレファントカシマシに熱狂して半年ちょっと。映画「ボヘミアン・ラプソディ」のTV地上波放映を見ながらの感慨を、独善的偏向的視点から綴る。
どうしたって二つのバンドを重ねてみてしまう。ボラプ映画を見てなお一層そんな気持ちが高まった。
クイーンではフロントマンのフレディ・マーキュリーの傑出ぶりが注目されるけれども、他のメンバーいずれも相当力量のミュージシャンでソングライター。だがしかし、それぞれソロではバンドほどの結果を残していない。バンドの総合力が桁外れだった。
「他のメンバーがみんなで俺の曲を台無しにする」なんてぼやきもあったと伝え聞くけれども、そうやって練られ磨かれた楽曲こそが至宝だった。名義はどうあれバンドの曲、バンドの総力。
映画ではフレディがソロになったときのことを描いていて、フィクションとはいえ事実も匂っていた。ソロ活動でメンバーの実力、有難みが身に染みたようだ。視界が変われば見えるものが変わることはいくらでもある。
宮本浩次の場合、バンドの中では唯一の傑出した天才である。メンバーは必死に喰らいついていく立場だ。過去のエレカシ勉強中の私には、宮本は「引っ張っていかねばならぬ、自分が支えねばならぬ」という負担を感じながらも実はやりたい放題、唯我独尊に見えた。「俺に合わせろ、俺のやりたいようにお前もやれ」という独特の世界に魅せられる。あんまり見ない世界だった…
ソロ活動を始めてからのインタビューで「守られていた。お山の大将だった」と述べている。友情でつながっているバンド。才能にあふれていながらもあまりにも純であまりにも危うい、デコボコな若者だった宮本浩次を囲い、守り育ててきたのはエレカシというバンドの友情。宮本は、ゆっくりと大人になっていくひとだったようだ。
ソロ活動で他のミュージシャンとセッションすることで、ただのひとりの歌手として時には他人の刻むリズムやグルーブに身を委ね、タイミングを合わせ、その中で自分の本領を発揮しなければならないことを体験する。厳しさと楽しさを味わっているようだ。人に任せても大丈夫という気楽さもありつつ、折り合いつけなければならないという難しさも感じているだろう。最近の充実ぶりが表情にも表れていると思っている。雑誌記事やJAPAN JAM 2021の演奏を見ての感想である。
フレディと宮本。真逆の方向からではあるが、いずれもソロ活動の中で、バンドの良さ、有難み、尊さを思い知ったようで面白い。
クイーンで言えば、「フレディのソロで解散は決定的」とまで言われつつ、その後も佳作カインド・オブ・マジックを発表し、同ツアーは過去最高規模にして最高のステージパフォーマンスを連発した。そしてそれがラストツアーになったのだが。映画と違い、この時点(ライブエイド後)ではまだ病を知らなかったということは強調したい。
宮本浩次がソロ活動で成功を収めた後で、エレカシでどんな活動をしていくのかは、まだ、本人も周囲も考えが及ばないであろうけれども、ソロをやりながらもエレカシへの思いが常にあることは端々から理解できる。
宮本にとってのエレファントカシマシは、心理的には「気の置ける仲間とご機嫌なロックンロールを奏でる癒しと寛ぎの場」であってほしいと私は願っている。(音楽が厳しいものになることは想像に難くない。)
ロジャー・テイラーとブライアン・メイはクイーンを「マザーシップ(母船)」と表現する。そこからそれぞれが飛び立ち、航海に出で、いずれまた戻ってくる場所、ゆるぎない安住の地。映画ではファミリーと表現されていた。(映画のファミリーには実の家族や友人恋人なども含まれていた)。
エレカシは、母船というよりは、ファミリーそのもの。家族以上にファミリー。密着しすぎず親密で、善いも悪しきも無条件に許容しあえる愚直なまでの信頼関係と観測している。あながち間違ってはいまい。
50代半ばで飛躍する宮本には同世代として希望と羨望しか感じない。困難な「自粛期間」に黙々と為すべきことを為し、成果を残したことへの尊敬と憧れは畏怖にも近い。
自らの才能をさらに開発してのカバーアルバムROMANCEの大ヒット、それを評価されての受賞を踏み台に、さらに2021年の快進撃をスタートした今、目が離せない展開が続き、釘付けになっている。楽しみに追い続けたい。
蛇足として、ロジャー・テイラーの近況について。英国ロックダウン期間中に作成していたと思われるアルバムを発売するのに合わせて全英ツアーに打って出るという。72歳のフロントツアー! こちらもまた尊敬と憧れしか感じない。
どこか似ている二人の伊達男。黙って実績だけを突き付けてくる粋で洒落ている漢(おとこ)たちに心奪われる日々が続く。幸せなことだ。
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