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「GCB47」、ロックの系譜を継承する陽気な人外ども。

~「きゃらきゃらロケンロー!」讃。

GCB47、というバンドがある。
知っている人は知っている。


じーしーびーよんじゅうなな、というのが通称だが、正式には「ご当地キャラクター・バンド・よんじゅうなな」だ。
お察しのとおり「AKB48」的なネーミングだが、「47」なのにはきちんと意味がある。
メンバーは「全国47都道府県のご当地キャラクターたち」だからだ。


2013年結成。2014年5月14日、徳間ジャパンからシングル「きゃらきゃら天国」でメジャーデビュー。

現在の主なメンバーは、

ベース:埼玉県(公財)志木市文化スポーツ振興公社 公式マスコットキャラクター カパル
ギター:東京都品川区大崎 シュピーゲル・ド・スパンキー3世
キーボード:東京都品川区戸越銀座商店街 戸越銀次郎
ドラムス:千葉県船橋市の梨の妖精ふなっしーの「親戚のおじさんみたいなもの」 ブッシャア・アズナブル

そして、ボーカル・ギター・バンドマスターは、静岡県出身東京都在住のシンガーソングライター、石田洋介。

ほかにも豊島区巣鴨のすがもん、八王子市のたき坊や、結成当初からドラムを担当し、一昨年脱退はしたが今でも仲良しの秋田県ニャジロウなどが参加。
また、ゲストとしてギターに北海道のアックマ様(ちなみにアックマ様とカパルはふなっしー、にゃんごすたーともどもCHARAMELというメタルバンドを結成している)、高知県須崎市のしんじょう君、キーボードに京都府のママゴーヤなど、様々なご当地キャラが出演することも多い。


本当に「ご当地キャラクター・バンド・47」なのだ。


彼らの最初のオリジナルソング、「GCB47のテーマ~GOTOUCHIラブ!~」にはこんな歌詞がある。


「メンバーチェンジは多めです」


人間も含めて、その構成は自由自在。各地のイベントでそれぞれの場所に合わせて編成を変えつつ活動中である。


もうひとつ、これも同じく「GCB47のテーマ」の歌詞にある大事なことを書いておくと、彼らは「当てぶりじゃないよ 弾いてます」。

ガチで演奏している。
人間よりも大きな手で、人間よりも狭い視野で狭い可動域で、それでも弾いている。

SNS上で練習したくないと嘆いたり、とぼけたり、リハーサルに来なかったり、リハーサルでちゃんとできなくてバンマスに叱られたりしながらも、いざステージに立てば誰よりもみな、楽しそうに演奏する。


人によって彼らの何を魅力に思うかは違うだろうが、私はその「音楽は楽しい」という当たり前のようで忘れがちなことを全身で伝えてくれる彼らの演奏が好きだ。
たくさんのハンデを乗り越えたり乗り越えきれなかったり(!)しながらも、彼らはステージに立つ。

キャラクターであるがゆえに一回の活動には制限時間があって、できて30分程度のステージがほとんどだから毎回3~4曲が限界だけれども、その短い時間に目いっぱい、楽しさを詰め込んで伝えてくれる。

GCB47の音はシンプルで明るい。
余計なものが削ぎ落された最低限の、だからこそ根源的にダイレクトに響く「バンド」の音。

キャラクター同士が交し合う、音のない言葉。
身振り手振り。大きなジェスチャー。小さなアイコンタクト。
ゆったりと揺れる身体。音に小さく弾む足。目いっぱいに飛ぶ姿。ぎりぎりまでステージ前に出てきて客席にアピールする姿。

制約が多いからこそ、その中でできることを一所懸命に。

少しくらいフレーズが違っても、少しくらいテンポが揺れても、一所懸命に演奏する彼らの姿を見ていると、 いつも胸に爽やかなものが湧き上がる。
義務で弾かない。仕事じゃないんだもん、やめたきゃいつでもやめられる。
だからこそ、やるときは楽しむ。子どもが真剣に遊ぶように。


彼らのステージを見るために、たくさんのファンが集まる。
一昨年秋、志木市民会館パルシティで開催されたコンサート「Welcome To Ghoul City〜約束の場所で〜」は、GCB47およびCHARAMELのメンバーであるカパルのゆるキャラグランプリ2018、グランプリ獲得の凱旋公演(CHARAMELとの対バン)だったが、800キャパのところに倍以上の応募があり、抽選で入り切れなかった人がたくさんいた。

みんな彼らの演奏を心待ちにしていた。
熱狂した。
そう、彼らの演奏は熱狂を呼ぶ。

8年の活動の中で、ステージングは次第に洗練されてきたけれど、それでも失われない「音を楽しむ」原点がそのステージにはある。



とはいえ。コロナ禍である。


メンバーそれぞれ在住が異なるし、あくまでも彼らは「ご当地キャラクター」であって、使命はそれぞれの土地・名産・観光などのPRやそれぞれの場所の隆盛に貢献することが第一なため、そもそも活動回数は多くはなかった。
大きめのキャラクターイベントやキャラクターコンサートの企画、メンバーであるカパルの地元での市民まつりのステージなどがここ数年の登場場所で、年に数えられるくらいのステージ数だった。


そして、コロナ禍によって次々にキャラクターイベントは中止され、そんなわずかな機会すらも奪われた昨年、今年。


ようやく、久々のステージがこの6月に実現した。
政府および自治体基準にのっとって慎重に、しかし、大いに熱狂的に開催されたそのコンサートは「ライブ アイタイ2021」。
2015年に1年かけて行われた、バンマス・石田洋介のミニアルバム発売記念コンサートツアー「アイタイ」シリーズから6年越し。
今回はご当地キャラクター界からのファンへの、そしてファンからご当地キャラのみんなへの「アイタイ」気持ちが実現させたコンサートだった。


その中で、GCB47の新曲が…バンドの新曲としては4年ぶりになるだろうか…発表された。

タイトルは「きゃらきゃらロケンロー!」


なんたる明快なタイトル!
そして、明快なロケンロー!


歌詞はテレ玉(埼玉ローカル局)とカパルがコラボした番組「カパルを止めるな!」の番組内でのブレーンストーミングをもとに練り上げられたものだったようだが、随所におそらくはバンマス・石田洋介氏の想い、メンバーの想いも込められている、と感じた。


オールディーズな、ロカビリーなロックサウンド。
踊りたくなる強いビート。

冒頭、ゲット・レディ、カム・トゥゲザー、ストーン・フリー、モア・ザン・ア・フィーリング(宇宙の彼方)、キラー・クイーン、ドント・レット・ミー・ダウンと「月火水木金土」の頭文字で韻を踏んだ「ロケンロー!」の名曲がずらりと並ぶ。
この曲が、GCB47が、ロックの系譜を継承する!と宣言しているかのようで力強い。

石田洋介氏のシャクリ多めな(多すぎな!)ボーカルと掛け合うように、スパンキーとアックマ様(音源には初の正式参加)のギター、そして太めのカパルのベースが入り込んでくる。
頭からもうご機嫌だ。


そして続く「きゃらきゃらロケンロー!」のフレーズで曲が一気に動き出す。


ツインボーカルのゆきゆっきの美しいハーモニー。中盤の切なさあふれるフレーズのあの響きは透明度の高いゆきゆっきの声だからこそ生まれたもの、という気がする。
コーラスのあおちゃん(ゆきゆっきの息子さんで5歳の男の子!)の声の愛らしさにも耳が惹かれる。
中盤のスパンキーかな?ギターソロのご機嫌なことよ! 
アックマ様のゆがみの強いギャリギャリした音、スパンキーのキンと張った高音、二つの音の違いがまた楽しい。
コンサートではCDとは違うふたりのギターソロの掛け合いがさらにスリリングでご機嫌だった。
音全体を支えるリズム隊、カパルとブッシャアはドンタタとご機嫌にリズムを刻んでいる。
とにかく心の弾む曲。嬉しくなる曲。


そんな明るい「ロケンロー」の中に、するりと歌詞に封じ込められた「今」が印象的だ。


「難しいことを考えたりするけど 簡単なほうがやっぱみんな好きじゃない?」
「無関心よりずっとマシだよ」
「逃げ出すよりずっとマシだよ」
「あるはずのものがなかった悲しみ そんな思いはさせたくないけど」

今への愁嘆
今への憤り

「自由こそロケンロー」
「思い切りやろう やりたいようにやってみよう」
「ワン・ツー・スリーで跳んでみよう」

今を生きるための鼓舞
今を生き抜くための励まし


泣くような歌詞じゃちっともないのに、妙に胸にしみてしまった。
なかなか何も考えずに動くことができない今、やってみようよ、行こうよ、と言われることがどれほど力になるか。
後ろからトーン!と背中を叩かれたような気持になる、そんな歌詞。


随所にふわりと漂うそんな言葉達をGCB47の面々が楽しく明るい音楽に変えて屈託なく届けてくれる。

「ロケンロー!」の魔法がそこにある。
改めてGCB47の音楽の魅力を見つける思いだった。


「アイタイ2021」のステージでは、GCB47の音に餓えていたファンの熱望もあって、この曲の間のホールの空気はとてもとても熱かった。音がぐるぐるとホールの中を渦巻くようだった。彼らの屈託のない音をみんな心底、楽しんだ。


「アユレディ?」
「オーライ!!」


歌詞に出てくるコール&レスポンスのパートでは声に出してはまだ答えられなかったけれど、中盤にはバンマスがクラップによる「コール&レスポンス」も用意してくれていて、声のないしかし熱い「声援」(エール)は彼らのもとにもきっと届いていたと思う。


次にGCB47に逢えるのは一体いつになるやら…。
コロナ禍はまだまだ続きそうだけれど、それが明けて各地でイベントが再開した暁にはきっとまた逢えるときも来るだろう。
それまではCDで、彼らの音楽に励まされて生きていこう。

「アユレディ?」
「オーライ!!」

わかったよ、やりたいようにやるよ!
そう、心で答えながら。
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