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私はVaundyをまだ全部知らない

才能とアイデアの海の深さに、驚かされては、またハマる。

Vaundyの新曲がまたリリースされた。
“また”と思わず付けたのは、ついこの前『benefits』をリリースしたばかりだったから。
このところ彼は、ワンマンLIVEにフェスに楽曲作りにメディア出演、その合間に大学の課題提出etc.・・・と八面六臂の活躍ぶりだ。

「Vaundyは一体何人いるのか?」

“全く違う表情”を見せる新曲が出る度に、ファンの間で囁かれている彼だが。最近の精力的な仕事ぶりだけを見ても、「Vaundyはホントに何人いるんだろう?」と目を見張るばかりである。

快進撃を続ける中でリリースされた今作『花占い』は、レトロなタイトルが印象的。
Vaundyと言えば、LIVEタイトルに “HATSUGA”、 “KATARIBE"、 “HINODE”を掲げ、ちょっと前には『しわあわせ』をリリースする等、このところ何故だかタイトルに風流さが漂い、まるで粋人のよう。海外進出も視野に入れての活動らしいから、日本語をあえて用いる着想は、理に適ってる。それに一時期、若い世代に大和言葉が流行ってたし。彼ぐらいの年頃には古風な響きが新鮮で、聴いた人の印象に意外に残りやすくていいのかも。ついでに私のようなだいぶ上の世代にも耳馴染み良く、新曲が出る度まずタイトルに注目してしまう。だから彼のこういうネーミングセンスって、嫌いじゃない。

そんな侘び寂び感ハンパない『花占い』は、ドラマ『ボクの殺意が恋をした』主題歌として書き下ろされた。

「聴いてこっちを振り向かせないといけないから、踊りたくなる曲を」
(※J-WAVE【SONAR’S ROOM】7/13O.Aより引用)

彼がナビゲートするラジオ番組で、楽曲に対する想いをこんな風に語った。その思惑通り、メロディも歌も演奏も“踊らずにはいられない”ほど、丸ごとキャッチー。
余談(しかも冗長)だが、前作『benefits』はモロ90年代UKサウンドで、かなり懐かしめの楽曲だった。20代のアーティストが咀嚼して自分流にやるとこうなるのかー!という新たな発見があり、これまでのVaundy作品と比べると、ちょっとした冒険曲になった感じ。

それから1ヶ月足らずで、180度イメージを変えてきた『花占い』。
これはヒット確実な主題歌の模範中の模範と言っていい。ここまで物語にフィットする主題歌も、近年珍しいんじゃないかとさえ思う。ドラマを観る前から、この音楽に乗ってストーリーが急展開するのが見えた。
イントロなしでいきなり歌が始まる技法は、ストリーミング時代の今なら珍しくはない。でも、ものの数秒で私の心をワシ掴みしたVaundyの歌声。そのインパクトは最強だ。殊に、歌に入る直前の“ブレス”。あの瞬間に緊張が走り、何度聴いても神速で歌の世界に吸い込まれてしまう。

昨年末リリースの『世界の秘密』以降、わりとトーン抑えめの楽曲が4曲続いた。Vaundyの心理にコロナ禍が影響したのか、意図せずそういうテイストが続いただけなのか、それは分からない。その流れでリリースされた『花占い』は、この1年間我々が抑えていた感情と欲望をひっくるめて、Vaundyが代弁して“爆発”させたかのようだ。同作のMVで爆ぜるメトロノームの威力そのままに。
7作目『怪獣の花唄』に感じた爽快感や躍動感とも別次元の、スリリングな刺激に胸がすく。なのに、初めから終わりまできゅんきゅんする切なさが入り交じるのは、“実る前の恋” (本人談)の歌だから? それでも全く湿っぽくも野暮ったくもならないのは、豪華演奏陣が“恋歌”を華やかに盛り上げている力も大きい。

以前、Vaundyが『しわあわせ』をNHKの音楽番組で初めて生披露した時。
音楽界の錚々たる面々を従え、クラシックとロックの生競演を壮大なスケール感で魅せてくれた。初めて観る“Vaundyとビッグバンド”の相性の良さには、度肝を抜かれた。
なんなんだろう、この圧倒的存在感。感動の余韻も並外れてる。あの日『しわあわせ』という名曲が、上質な生演奏にいざなわれて昇華されたのを見た。
そのことに本人も気づいたのか、『花占い』でも新たに腕利きミュージシャンが総力を結集。ホーン隊やストリングス隊の華麗な音色とVaundyの縦横無尽な歌声が融け合う、“踊らずにはいられない”アッパーチューンが誕生した。

さらにはドラマ出演者が登場するMVも、新たな魅力を添えて話題に。
watanabe_nao監督とコレオグラフィーのyurinasiaの手で歌の世界観に芸術的要素が加わり、ロマンチックなミュージカル映画みたいに胸が躍る。

2019年のデビュー以来、リリースする1曲毎に“新たなVaundy”を“登場”させ、「Vaundyは一体何人いるのか?」とネット上でバズられてきたわけだが・・・。現在次のアルバム制作も進行中のようなので、『花占い』を景気づけに、この先も“また”我々の想像を超えた楽曲で話題をさらうことになるだろう。

「これからも全然違う曲を出していくから、楽しみにしてください!」
(※J-WAVE【SONAR’S ROOM】7/13O.Aより引用)

そう言い切った時の自信に満ちた声は、本当に頼もしかった。そしてまた思うのだ。

彼の中に、私の知らないVaundyは、「あと何人いる」のだろう?
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