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出たよ、こういうバンド

「マカロニえんぴつ」なんて好きにならないから

「ああ、出たよこういうバンド。わたしは絶対好きにならないから」

 たぶん初めて見かけたのは、今から3年程前のカラオケでの映像か何かだった。一緒にカラオケに来ていた友だちに、たしかにわたしはそんなキツい言葉をかけたのを鮮明に覚えている。

 特徴的な声、今時のビジュアル、そして楽曲のエモさ、深夜の1時を25時と表現してしまうあの感じ。全てがわたしにとっては拒絶だった。

 それからも彼らの紡ぐ音楽に触れないように、YouTubeの関連動画に出てきたら、急いでスキップをして、そうこうしていると1年が経った。

 そして時は2020年、絶賛コロナ禍真っ最中。おうちでやりたいこともなくて、なんとなくYouTubeで音楽動画を漁る毎日を過ごしていると関連動画に「レモンパイ」が出てきた。なんだか今日はスキップするのも面倒になり、初めて彼らの音楽を耳にした。

「夜の長さに飽きたのだ
 甘くて残したレモンパイ」

 え、そこが刺さるの?と思われるかもしれないが、あまりにすんなりと体の中に入ってきて、あたかも昔から一緒にいたような懐かしさを感じたのだ。

「いかんいかん。絶対マカロニえんぴつになんぞハマらないんだ」

 と、なんとなく口にしてみたものの、気が付けば「ブリーベリー・ナイツ」をクリックしていた。それからも「恋人ごっこ」「ヤングアダルト」「MUSIC」「恋の中」「愛の手」「眺めがいいね」「OKKAKE」と聴いても聴いても、もっと彼らの音楽が欲しくなる。

 高まる心拍数。もう、これ以上わたしの人生に色をつけないでくれ。

 そんな時に出逢ったのが、「春の嵐」だ。歌のはじまりにはこんな歌詞がある。

「触れない
 離れられなくなるから
 飛び込めない
 溺れてしまうのが怖い」

 いま思うと、3年前のあの日、はじめて彼らを目にした瞬間から、恋をしてしまったのだと思う。はっとりさんの歌声と、マカロニえんぴつの織りなす音楽に。そんな自分から目を背けるために、あえて嫌悪を感じていた。彼らに溺れてしまうのが怖かった。

 でも彼らは、いつもそこにいて、わたしたちにグッドミュージックを届けてくれていた。

 これを書いていて今思ったことだが、マカえんファンは、彼らの使う用語、例えば「グッドミュージック」だったり、「ラブ」を「ラヴ」と言ったり、そうやって彼らの言葉を使って、少しでも彼らに染まろうとする。もちろんわたしもその一人で、その言葉を発するたびに、明日を生きる勇気をもらえた。でもそれと同時に「口癖まねしても君にはなれない」ことも知ってる。

 彼らは彼らの方法で、わたしたちの退屈な青春を愛し抜く方法を教えてくれた。逃げ場になってくれた。

 だから今度はわたしたちの番だ。彼らがくれた言葉で自分を表現する。好きには忠実でいる。それが彼らにできる精一杯のありがとうなんだと今は思う。

 好きに溺れても大丈夫。わたしはもう魔法が使えるから。
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