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人生を変えた出会い

BUMP OF CHICKENのライブに行きたくて、あこがれ続けたお話し

 BUMP OF CHICKENの楽曲に出会って私の人生は大きく変化した。
出会ってしまった瞬間から,嘘みたいに強烈に心を奪われてしまって,あほになったのかと思うほど繰り返し繰り返し,楽曲を聞き続けた。
好きという言葉だけでは処理できない感情に支配され,今もまだその熱は冷めることはない。

 楽曲のすばらしさは当然として,ただ単に曲を聴いていただけではここまで好きにならなかったと思う。好きが深まっていく過程で,私にとってどうしても外せないのが,ライブツアーだ。
 と言ってもかなりの期間自分にとってライブは遠い存在で、手の届かない憧れの場所だったのだが…。


 私がBUMP OF CHICKENを初めて意識したのは,2014年10月3日,NHK総合で放送されたドキュメンタリー番組
『BUMP OF CHICKEN クリエイターたちとの創造・ドキュメント LIVE in 東京ドーム』を観た時だ。
 それまでBUMP OF CHICKENについては,ほとんど何も知識がなく,『天体観測』を聴いたことがある程度。たまたま勝手に録画されていたドキュメンタリーを,本当にたまたま見始めたのが,今思うと運命だったのかもしれない。

 2014年の自分と言えば,一番下の息子が保育園年長組で,私は職場を異動した直後だった。若いころ(笑)はそれなりに自由にライブに行ったりできていたのだが,結婚して上の息子が生まれてから20年近く,仕事と子育てにすべての時間を割いていた自分は,自由な時間など本当にかけらも持てず,何人かの好きなアーティストのCDを購入して聞いたり,本を読んだりするくらいがせいぜいで,ライブに行くとか,そんなことは考えもできなかった。

 丁度家族がいない時間帯だったのか?子供向け番組以外にそんなものを観る時間がなぜあったのかも覚えていないけど,番組を観ていた時のワクワクとした気持ちは今も思い出せる。

 その番組は,BUMP OF CHICKENのライブツアー『WILLPOLIS 2014』の東京ドームファイナルを中心としたドキュメンタリーで,様々なアーティストが関わって,ライブという一つの空間を演出し,作り出している課程を描いていた。

 とにかくすごかった。

 こんなにたくさんのプロフェッショナルが関わって,創り上げるライブがあるんだ!ただ音楽を演奏するだけでなく,その音楽の世界をより伝えるための創造的な取り組みの数々に,興奮し,驚愕し,そして,そのライブがもう過去の物であることに激しいショックを受けた。

 知っていたからと言って,行けたわけでもないのに。

 自分がこのライブを生で体験できていないことが,心の底から悔しくて,今もまだ残念で仕方がない。

 心の真ん中に小さな小さな火のようなものが灯った瞬間だった。


 同じ頃,羽海野チカ先生の漫画『3月のライオン』の10巻とタイアップした楽曲『ファイター』が発表された。元々大好きな漫画だったので,CD付き特装版を予約して購入,そのあとスピンオフ漫画が読めるシリアルナンバー目当てで,ダウンロード版も手に入れた。CDを持っているにも拘らずさらに音源をダウンロードするのなんて,人生で初めてだった。
 楽曲『ファイター』は漫画『3月のライオン』との親和性が素晴らしく,一つ目の音からすでに漫画の主人公零君の息づかいが聞こえてくるような,鳥肌ものの楽曲で,聴いた瞬間からどハマりし,手に入れてからしばらくは,夢中で聴き込んだ。
 関連のラジオ番組をチェックし,羽海野先生とBUMP OF CHICKENが対談しているラジオを聴いたり,雑誌まで買ってしまうほど…ラジオで聞いたメンバー4人の会話がとても楽しくて,彼らのレギュラーラジオ番組『PONTSUKA!』も聞き始め、ますますこの人たちを好きになっていった。

 公式のYouTubeから観れるミュージックビデオを片端から鑑賞し,鬼のようにリピートし続けた結果,スマホの通信料がとんでもないことになり,とうとうベストアルバムをレンタルで入手してしまった。さらに『COSMONAUT』,『RAY』と次々に音源を手に入れ,ヘビーに聴き込んでいく。

 気づいたら私は既に,底の見えない沼に飛び込んでいたのだった。


 そうこうしているうちに,『WILLPOLIS 2014』のDVDが発売になった。私がどうしても行きたいと思ったライブが観れる!すぐに予約して購入した。
 パッケージを開けた時,ライブで会場に降り注いでいた銀のテープとコンフェッティ(紙ふぶき)が入っていた。テープには会場名が入る場所があるのだが,そこに『きみんち』(君の家の意)と書いてあって,まるで自分が本当のライブに行けたみたいな気持ちになって,作り手のやさしさに涙が出そうになった。

 DVDは予想以上に素晴らしく,前述のドキュメンタリーを思い出し,映像に映る参加リスナーの笑顔や泣き顔に感情移入しながら,ライブを心から楽しんだ。

 ああ,私もこの空間に,居たかった。

 一緒に足踏みをしたり,腕を上げたり,声を出したりして,BUMP OF CHICKENの音楽を目と耳と五感を全部使って,楽しんでみたかった。

 もう悔しいとは思わない。元々行けるとは思っていないし,これからだって,行くことを許してもらえることはないと思う。小さな子供を家に置いて,夜お母さんがライブに行くなんて,私の家族の価値観からしたら,全くあり得ない事なんだから。

 そう自分に言い聞かせながらも,諦める気持ちのいちばん奥、心の真ん中の火が少しずつ大きくなっていく。


 憧れを隠して、今までと変わらない日常を必死にこなしている間も、私のBUMP OF CHICKENへの気持ちはどんどん強くなっていった。出会いから1年半ほどが過ぎる間に個人的に起こった小さな心配ごとや,大きな事件が自分をぐらぐらにした時も、BUMP OF CHICKENの楽曲が側にいてくれた。
 たとえライブに行けなくても、こうやって音楽が傍らにいてくれるだけで、生きていける、そんな風に思えるほど,BUMP OF CHICKENの楽曲は私にとってなくてはならない宝物になっていた。


 2016年が開け、好きになって初めて、新しいアルバム『Butterflies』がリリースになった。発売と同時に購入した『Butterflies』には、その年に始まる『STADIUM TOUR 2016 “BFLY”』の‛最速先行予約受付応募券‘が封入されていた。行けるわけない、分かっている、でも、でも、もしかしたら、ここに書かれているNo.を使って応募すれば、チケットが手に入るのかもしれない。恋焦がれたあの世界に、あの空間に手が届くかも知れない。でも…

 アルバム『Butterflies』の1曲目『GO』にこんな歌詞がある。

 『叱られるって思い込む 何か願った それだけで』

 当時の私は、まさにこんな感じで、ライブに行きたいなんて考えちゃいけない、きっと軽蔑される、𠮟られるって、思い込んで怯えていた。

 仕事に行く途中にあるコンビニに、ツアーのポスターが張られている。その前を通る度に申し込んでもいないのに、ドキドキして、目がそこにくぎ付けになる。一番近い会場の‘日産スタジアム’の日程を調べ、カレンダーに小さく印を入れてみる。だめかな、むりかな、でも可能性はゼロじゃないよね。少しずつ気持ちが動き始める。一日くらいなら、子どもたちを預けても,お出かけしても大丈夫かな…

 結局私はライブへの参加はあきらめることになった。家族に言い出す前に、義理の妹の結婚式がファイナルの2日目に決まったのだ。「お姉さん、その日あけといてね。」って言われたとき、行きたいライブが…とは,とてもとても言えなかった。
 式は遠方で、前日から新幹線で移動する。ライブのある日産スタジアムは新幹線の新横浜駅から一駅だ。ライブの初日、皮肉にも私は新横浜駅にいた。改札から出てくるこれからライブに行くだろう人たちを横目で見ながら、私は妹の結婚式へと出発した。
 BUMP OF CHICKENのグッズを身につけたリスナーさん達を間近に見るのは初めてで、かばんにつけたキーホルダーや、リストバンドなどの小物まで、つい物欲しそうな目で追ってしまう。多分全身から憧れのオーラが噴き出ていたんじゃないかと、今更ながら恥ずかしい気持ちになる。
 手が届くかと思っただけで、こんなに心が動いてしまう。私の「会いたい」気持ちは、もうまる焼けの黒焦げ状態だった。

 日産スタジアムライブの直前にリリースされた『結成20周年記念Special Live 「20」』も迷わず購入。超限定の『Special Live』を自宅で観れる!値段もチケット代と変わらないし,ライブに行けなくても,映像で楽しめるんだから,意外とその方がいいかも。メンバーの姿もアップで見れるし,音だって,いちばんいい所でひろっているだろうし…なんて,なんて,その時は結構本気で思っていた。

 ライブDVDにはライブ音源のCDが付いていて,映像が見れない時も,耳からライブを楽しむことができる。リスナーの歓声や,アルバムとは違ったテンポ,アレンジ,ボーカルギターの藤原基央さんのかっこいい煽りが耳元で響くのが堪らない。いいなあ,ライブ,やっぱり好きだなあ。録音で何度も聴けるのもすごいことだけど,この音が生まれた瞬間にそこにいられた人達は,どれだけ幸せなんだろうな。

 DVDで充分満足!と本気で思う一方で,憧れる気持ちはやっぱり消えることはない。

  いつか,本当に,会いに行ける日が来たらいいのに。


 運命の出会いというのは突然やってくる。

 2017年春の人事異動で職場に新しく配属になった後輩との出会いが,私にとってのそれだった。
 自己紹介で彼女の口から「BUMP OF CHICKENが好きなんです。」というのを聞いた時,私は初めて誰かの口から「BUMP OF CHICKEN」という名前を聴いた気がした。そのくらい,自分の周辺には「BUMP OF CHICKEN」を知っている人すらいなかったのだ。
 初めて出会ったBUMPリスナーである彼女は,日本中のライブ会場に足を運ぶガチ勢というやつで,リスナーとしての大先輩だった。聞きたいこと,話したいことが山ほどあって,ほぼ毎日,昼休みは一緒にご飯を食べながら,BUMP OF CHICKENの話をした。

 さらに運命のごとく,その春
『BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER』が発表になった。

 依然として自分の家庭状況は変わっておらず,「母親が子供を置いてライブに行くなんてとんでもない」という価値観が根強く,ハードルはかなり高い。でも,今は下の子も小学生になって,多少は手がかからなくなっている。上の子は中学生。自分のことは自分でできる。もしかしたら,今度こそ行けるかもしれない。

 いつものお昼休み,ライブへのエントリーを迷っている事を相談すると,後輩ちゃんはあっさりとこう言った。

 「お子さんも一緒に連れて行ってしまえばいいんですよ。」
  …えっ?それってアリなの?
 「ライブはとりあえず行ける所は全部申し込んで、当たった所に行くんです。
  もし遠方なら旅行も兼ねていけば,ご家族も楽しいですよ。」
 「BUMPのライブは,絶対にいいから,感動しますから,
  先輩にぜひ行ってほしいです!!
  メンバーに会えるんですよ,行かなきゃですよ!申し込みましょう!」

 そうなんだ,旅行にすればいいんだ・・・子どもと一緒に楽しめばいいんだ。
正に自分にとっての"パラダイムシフト”が訪れた。がちがちの規範・常識・定説が覆された瞬間で,文字通り,目から鱗が落ちる思いだった。

 崖っぷちからドーンと背中を突き飛ばしてもらったおかげで,とうとう私は長年の憧れに手を伸ばす決心ができた。後輩ちゃんありがとう。

 それでも,家族を前にすると、ライブツアーに参加したいとはなかなか言い出せず,こっそりと,日程を見ながらいけそうな日をエントリーする。当たったら言おう,そうしよう。ドキドキしながら発表を待ち,落ち込んでまたエントリーを繰り返し,3回目の発表日,いつもと違う文面のメールが届いた。

 ‥‥・・・お申込みいただいたチケットをご用意いたしました。

 今も,この時のメールを見ると,当時のことがよみがえってくる。
憧れて,焦がれ続けて,でも手を伸ばすこともせず,遠くから見ていた場所が,むこうから招いてくれた。
 来てよ,おいでよ,待っているよ。
「ご用意いたしました」という文面からは,そんな印象を感じさせる。

ありがとう,ご用意してくれて。
行きます!何としても絶対に!!

 家族の説得、旅行の手配(なんと唯一ご用意されたチケットは‘北海道’会場だった)、仕事の調整、健康管理、その他諸々を通過して、
 とうとうBUMP OF CHICKENに会える日が来た。

 2017年9月23日(土)『北海きたえーる』
 本当の意味で私の人生を変えた出会いの日について最後に書き留めたい。

 まだ真っ暗な午前5時、当時中学生だった娘と共に空港に向かう。7:30の飛行機で北海道へ。娘への家族サービスも兼ねた旅行なので、一応札幌観光などもする。考えてみたら、娘との二人旅は初めて。小さい頃から手を焼いていた娘が旅先では頼りになる娘さん発揮、成長を感じる。
 早めに宿に着いて少し仮眠をしたのち会場に向かう。ライブへの参加自体ひょっとすると20年ぶりくらいかも….ヤバい…緊張がピーク。胃が痛くなってきた。

 会場に到着。記念にガチャを娘と回し、色がかぶってしまったので近くにいたお姉さんに勇気を出して話しかけ、交換していただく。
 ツアートラックの写真を撮ったりして会場の雰囲気を満喫。
 いよいよ入場となる。チケットの番号を見ながら自主的に順番に並ぶリスナーさん達。前に自分たちと同じくらいの親子連れがいて、親近感をおぼえる。
 よかった…若者ばかりで浮くんじゃないかって実はちょっと心配していたのだ。
 やがて入場の合図があり私たちはアリーナへ。いよいよだ。

 ライブが始まる。本物のBUMP OF CHICKEN がそこにる。音楽を奏で、動き、話している。映像でも録音でもない、生の四人がそこにいる。嘘みたいだけど、これは現実だ。憧れ続けた場所に、私、来たんだ。

 それまで映像で観てきたBUMP OF CHIKCENは、とにかくカッコよかった。
 彼らの作る楽曲もカッコよくて尖がってたり刺さったりする面もあって、でも、同時に心の一番深いところを撫でてくれるような優しさがあって、そういうところにも惚れ込んできた。
 ライブは正にその楽曲のイメージそのままで、めちゃくちゃカッコいいのに何故か会場全体がふんわりと柔らかい空気に包まれていて、多幸感に溢れている。
リスナーも温かくて優しくて、ライブなのに、お家に招かれたような気持ちになる。何だろうこの感じ。

 ライブはDVDで観ればいいと、むしろその方がいいと思っていた事を深く反省する。映像にはないゆるゆるのMCや、曲の合間に起こるちょっとしたエピソード(例えばVo.藤くんが目が悪くてマイクにぶつかるとか)、メンバーどうしの目くばせ、笑顔、抱き合ったり肩を組んだり拳を合わせたりといった仲の良さも、映像よりもずっと豊富にストレートに伝わって来る。
 リスナーに向かって話しかけてくれたり、それに応えて声を出したりする事もライブだから出来ることだ。さらに会場ごとに違った歌詞変えやセットリストが存在する事も後で知った。

 ああ、こういう事か…これはここでしか得られない、言葉にも映像にもできない、空気のように会場を満たしている何か、これを感じるために、私はここに来たんだ。

 臆病者で警戒心の強い自分は、ライブに参加する前、もしイメージが違って最悪嫌いになったりしたらどうしよう…などとアホな事を考えていたが、完全に杞憂だった。むしろ真逆の斜め上。完全にやられてしまった。

 帰宅後、何かに取り憑かれたようにスケッチブック3ページに渡ってライブの感想を書き、溢れる感情を抑えきれず彼らの絵を描いた。
 情報が欲しくてSNSを始めBUMPの事を話せる仲間とも出会えた。

 この日、本当の意味で私はBUMP OF CHICKEN と出会った。
 そしてこの出会いが、今をとても楽しく充実したものにしてくれている。


 BUMP OF CHICKENとのファーストインパクトから3年かけてたどり着いた“ライブ参戦”というゴールが、さらに新しいドアを開けてしまった。
 まるでBUMP OF CHICKENの楽曲『虹を待つ人』だ。

『そのドアに鍵は無い 開けようとしないから 知らなかっただけ』

 BUMP OF CHICKEN と出会って私の人生は変わった。

 彼らとの出会いによって新しく出会えた人や広がった世界もある。
自分のやりたい事を正直に“やりたい”と言えるようにもなった。
駄目って決めつけなければ、案外大丈夫な事も意外と多い。全てがそうとは言えないが、もしかしたら、『初めからずっと自由』だったのかも。

 楽曲から気づかせてもらった事、気持ちを支えてもらったり、掬ってもらったりした事も数えきれない。

 開けた扉の向こうには、さらに無数の扉がある。
人生はそれほど長くないけど、生きている間に、私はもっと彼らの音楽を知りたい 一生をかけてずっと追いかけたい。それが私にとっての新しい扉たちだ。

 そして微力なのは重々承知の上で、自分なりに彼らのために出来ることを見つけて応援し続けたいと、今これを書きながら、改めて思っている。

 BUMP OF CHICKENに関わる全ての出会いに感謝して…


※『  』の中は、BUMP OF CHICKENの楽曲タイトル・歌詞・アルバム名などから引用しました。




追記:音楽文が終わってしまうと聞いてどうしても感謝をお伝えしたいと思い最後に書かせてください。たった1人でBUMPを聴いていた時、大好きな音楽について誰かと語りたい、話を聞きたい、聞いて欲しいと思っていました。音楽文は、そんな誰かの気持ちを叶えてくれるとても素敵な場所だったと思います。まだ読めていない文章も沢山あるので、3月までに少しずつ読んでいきたいです。このような場を与えていただき、運営をしてくださって、本当にありがとうございました。
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