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悲しみは絶対に乗り越えられる。

"ACIDMAN『INNOCENCE』プレリリースツアー"が教えてくれた事

「ACIDMAN『INNOCENCE』プレリリースツアー」
私は2021年8月13日の名古屋公演に参戦する予定だった。
ACIDMANを好きになって3年弱、ワンマンライブの参戦経験はまだ少ない。
今後沢山ライブに足を運びたいと思っていたところだった。
そして今回は、まだ発売されていないニューアルバムの曲を、ライブで披露するという一風変わったコンセプト。心からに楽しみにしていた。

8月11日の夜、ワクワクしながら遠征の準備をしていたその時、通知が入る。

ツアースタッフさんのコロナウイルス感染により、
名古屋公演・翌週の仙台公演の開催が見合わせとなった。

えっ・・・?

頭の中で混乱が走った。
どんなに気をつけて過ごしていても、誰もが感染する可能性がある時代。
そうなればライブの開催は困難となる。間違いなく懸命な判断だ。
しかし、しばらく頭が追いつかなかった。
誰1人として悪くないからこそ、感情の行き場を失ってしまった。

健康に過ごす事も、大変な仕事も、ライブの為に頑張ってきた。
何より、音楽イベントだって、本気で感染対策を徹底して、ライブ開催を実現してきた。
だけど、まだダメなんだ・・・。

色々なものが一気に崩れ落ち、その日はただ泣いていた。
自分にとって、ライブがこんなにも、人生の生き甲斐になっていたなんて。

こんな想いをする事が、この先何度続くのだろう。
そんな憤りも感じていた。


しかし私は幸いな事に、8月28日の東京・中野サンプラザホールの公演のチケットを持っていた。
感染されたスタッフさんの回復・ツアー続行のご報告を受け、
無事に東京公演を迎えることができた。

東京に着いた時点で、既に泣きそうになる。
名古屋公演が出来ないと聞いた時の私に、
「今日、ACIDMAN見れるんだよ!」と伝えてあげたい気持ちになった。

公演が始まった。
目の前に広がるのは、3人が奏でる演奏と歌、表情。
音が心臓にダイレクトに伝わるこの感じ…、
これこそライブだよ。やっと来れたんだ…。と感極まった。

今ツアーのライブは2部構成となっており、
1部はアルバムの楽曲をライブ形式で披露。2部は出来上がったばかり音源を会場内で流すものだった。
アルバム『INNOCENCE』を、それぞれの形で2度楽しめるものとなっていた。

だからだろうか、曲も然りだが、歌詞のメッセージが強く刺さった。
今回のアルバムは前向きな曲が多い様に思える。
しかしそれは、無責任に人を励ますものではない、
“悲しみ”や”心の傷”が前提となっている。

負の感情・出来事があったからこそ、人は考える。
結果、現実を知って”真っ黒”に汚れていくのが人間かもしれない。
しかしACIDMANは、そうは歌わなかった。
傷を受け入れて、それでも”真っ白”に、美しく生まれ変わる…、
そうすれば世界や自分自身は素晴らしくなれる。
そんな方向での”希望”を表現していた。

この状況下だからこそ、この数週間があったからこそ、
"自分自身はどうあるべきか?"…それを考えるきっかけになった。

そして、出た答えは、
後ろではなく、前を見ることだった。

《明日の空が消えてしまうその前に
悲しみの夜を越えて生まれ変わるんだ》
--『Rebirth』より

《こうしてまた僕らは生きてゆくんだよ
小さな花の様に

明けてゆく夜空を信じたなら
世界は歌に成ってゆく》
--『灰色の街』より

Vo.大木さんの美しく、だけど力強いボーカルとメッセージが、
自分の背中を確実に押してくれた。


大木さんはMCで、
名古屋・仙台公演に来るはずだった人や、今回の東京公演を断念された人に対しても気遣い、
そんな人たちに、どうかこれを伝えてほしい、と言っていた。

“これからもずっと音楽を続けていくから、
いつかまた会えます。”

この言葉が自分含め、どれほどの人の心に希望を与えただろうか。

大木さんのその気持ちを明確に表現したのが、
アルバム曲『夜のために』なのかもしれない。

『INNOCENCE』収録曲は、5月の配信ライブで一度披露されていた。
しかし、『夜のために』は当時は出来上がっておらず、
今回のツアーで初披露となった曲だ。

疾走感あるバンドサウンド、まさにライブ向きな曲調。
それだけで嬉しくなったが、真っ直ぐな歌詞に心を奪われた。

《何を失ってしまったとしても
消えないで その心で その命で
生き抜くんだ》
--『夜のために』より

あの時失った時間は、この日、確実に動き出したんだ。

2021年8月13日…名古屋、やっぱり行きたかったよ。
だけどもし、普通に開催されていたら、気づけなかったことも多かっただろう。


今後もどう転ぶかは分からない。
今回の名古屋公演の件の様に、
あんな想いをする事が、この先何度続くのだろう。
そんな不安は確かにある。
それでも、
前を見て生きていれば、必ず報われる。必ずまた会える。

それをACIDMANは音楽で証明してくれた、本当に素敵なライブだった。

これからも、ルールを守り、感染対策を徹底したうえでライブを楽しもう。
この行動はきっと変わらない。

そしてまた、どうしようもなくなった時は、この東京公演の事を、
いや、違う。

“名古屋公演がなくなってから〜この東京公演の事”
を想い出そう。

悲しみは絶対に乗り越えられる。
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