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ありがとうチャーリー、貴方こそローリング・ストーンズのグルーヴの核

サタニック・マジェスティーズを愛する僕のチャーリー・ワッツのグルーヴ考察。さようならチャーリー

チャーリー・ワッツが逝去した。

ツアーのたびに、引退が取り沙汰されていたが、実際は、無欠勤で、かつ今回は、開催が発表されたツアーへの不参加が事前に発表されたので、療養が済んだら、復帰だろうと高を括っていた。

突然の逝去のニュースに絶句した。

ストーンズといえば、グルーヴの鬼、最高のロックンロールグルーヴを聴かせる世界最高のロックンロールバンド。
それは、スタジオ盤でも堪能できるが、本質、本領はライブでこそ堪能できる。だから、ストーンズはライブ盤が多い。

僕は何度かストーンズのライブを観る機会を得ることが出来た。今、その幸運に感謝している。

生ライブを体験して、ある確信を持った。
正直、ライブを観るまで、何でチャーリーのドラムが世界的に評価されるのかわからなかった。が、ライブの数を重ねるたびに以下の核心は強まるばかりであった。それは、

【チャーリー・ワッツこそストーンズのグルーヴの核】
というのがこと。
この文章のテーマ。

ストーンズを初めて聴いたのは、渋谷陽一さんの伝説のラジオ番組、ヤングジョッキーのハードロックリクエスト特集。なぜか。ストーンズは10位にランキングされていて、渋谷さんがオンエアしたのは、「Jumpin' Jack Flash」。ストーンズの極めつけのナンバー(といことは、ストーンズを聴きだして、40数年である)。一曲でノックアウトされた。

ストーンズを聴いてみようとアルバムの選定に入った。
初めて買うミュージシャンのアルバムを何にするかというのは非常に悩む。決めかねる時、当時の僕は、ライブアルバムを買うことにしていた。

ストーンズで、最初に買ったアルバムは、今はCD化がされていない『Gimme Shelter』だった。理由は、1枚で2枚分の楽しみがら味わえるアルバムだったからだ。A面がライブ音源、B面がスタジオ録音。が、特にライブの録音の音が酷すぎるという記憶しか残っていない。

これでは、ビートルズに並ぶ、ローリング・ストーンズを聴いたことにはならない。次は、全編ライブ盤の『Get Yer Ya-Ya's Out! The Rolling Stones in Concert』を買った。ストーンズは多数のライブアルバムがあるが、個人的にはストーンズのベストのライブ盤である。ここから彼等の本格的なファンになった。

ストーンズの1990年の初来日、結果としてチャーリーの最後の来日になってしまった2014年まで、何度か東京ドームで彼らのライブは観ている。

【チャーリー・ワッツこそストーンズのグルーヴの核】

であると強烈に印象に残った理由を2つのナンバーを題材にして以下綴る

1990年の初来日と現在のところの最後の来日の2014年のライブにそのシーンはあった。

時間軸が逆なのだが、2014年ライブから書く。
このライブは、行くか行かないか相当に迷った。同年ポール・マッカトニーの来日が決まっていて、かつ旧国立競技場の最後のライブでこんなチャンスは本当に二度とない(結局体調不良で翌年2015年になった)、高額チケット2枚をほぼ同時期に購入するのは、普通のサラリーマンには頭が痛かった。が、妻を拝み倒して、行くことにした。理由は、まさかの、奇跡の、驚愕の、ミック・テイラーのゲスト出演が発表されたからだ。これは、間違いなく最初で最後だ。ミック・テイラーは必ず「Midnight Rambler」を演奏するに決まっている。
ミック・テイラーの「Midnight Rambler」をどうしても体験したかった。「Midnight Rambler」は、ストーンズのライブの定番、ハイライトといっていい、極めつけのブルースジャムセッションナンバー。
期待通り、素晴らしいソロをミック・テイラーは聴かせた・・・僕が観た「Midnight Rambler」の中でこれは最高、別格で、歴史の目撃者になれた・・

演奏中、不思議な光景を目にした。自由奔放にジャムり、次々と目まぐるしく、リズムが変わる。この日の演奏は特に長くて、自由奔放にノリノリのジャム。メンバーは、誰も振り返らないのだが、ゲスト出演のミック・テイラーだけは、度々、後方のチャーリーを振り返っていた。
なぜか?演奏の全体のコントロール、グルーヴの変化は、チャーリーがすべて、コントロールしているからなのだと確信した。さすが、チャーリー、最後方から全体を統括している

時間軸が逆だが、1990年。
この初来日は、奇跡としか言いようがなかった。過去のトラブルで来日はないだろうと思っていたストーンズがついに来日した。
僕の席は、2階席の奥底で、メンバーが観えるはずもなく、スクリーンばかり観ていた。当時、東京ドームの音響は本当に酷くて、感覚的には、3秒ぐらい、映像に遅れて、音が聴こえてくる。
現在のストーンズは、ライブでは、完全にノスタルジーを引き受ける覚悟を決めているが、この時期はまだその域には至っていなかった。セットリストは、新作『Steel Wheels』から数曲演奏しており、ツアーのタイトルも『Steel Wheels/Urban Jungle Tour』。

が、エっと思うナンバーがセットリストに含まれていた。
後半に演奏された「2000 Light Years from Home」。
ストーンズの最大の異色作である『Their Satanic Majesties Request』に収録されている。

完全に変な好みと自覚しているのだが、僕が最も好きなストーンズのスタジオアルバムはこの『Their Satanic Majesties Request』である。好きなものは好きなのでしょうがない。これ、中学生の僕が、初めて買ったオリジナルスタジオアルバムである。
『Their Satanic Majesties Request』は聴いたときは、いいのか悪いのかわからなかった。そこは、貪欲だったロック少年である。ビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に対抗するストーンズの大傑作というコピーを読んで買ったアルバムであるので、これを理解しなければ、ロックファンじゃないと毎日聴き、好きになるまで聴き倒した。個人的には世界最初のワールドミュージックのアルバムと定義している。サイケなSEが挿入され、リズムは、アフリカあり、東洋ありと多様。僕の細胞の隅々まで、記憶に刻み込まれている。が、その様々なリズムだけだがこのアルバムの魅力ではないのではないかという疑問が長年消えなかった。
それが、この日のライブで解けた。「2000 Light Years from Home」の次に演奏されたのが「Sympathy for the Devil」、次が「Gimme Shelter」。この一連の流れで、ストーンズのグルーヴの進化が一本に繋がった。『Their Satanic Majesties Request』を聴きなおすとそのサイケな音が印象深い。が、この3曲の演奏で、本作が果たした役割を僕は発見した。それは、ストーンズがそれまで肉体化した、R&B、ブルーズ、ロックンロールを徹底して批評的に解体していたことである。結果、ストーンズが出した答えは、解体しようとしたキースとチャーリーのグルーヴこそがストーンズサウンドであるという確信だった。この音が核であるという揺るぎない自信を得て、ストーンズのグルーヴは更に奥深くい発展していく。おー、これは大発見だ。ストーンズも気付いていたに違いない。だから次作『Beggars Banquet』は、新境地のサンバ、アフリカのリズムを取り入れた名曲「Sympathy for the Devil」がオープニングナンバーで、よりブルース、ロックンロールを唯一無二のストーンズサウンドに昇華し、強化して、名作アルバムとなった。

その最初の到達点が、最高傑作『Exile on Main St』。

最高地点を極めたストーンズは再びグルーヴの解体に取り組む。ソウル色が非常に強い異色作である『Goats Head Soup』を制作している。

その解体は、ディスコナンバーの「Miss You」、ファンクの「Dancing with Mr. D」、「Hot Stuff」、「Dance (Pt. 1)」、ソウルの「Harlem Shuffle」へ発展した。しかし、様々なグルーヴを取り入れても最終的に僕の肉体、リスナーに残るのは常に、チャーリーのドラムの音とキースのギターリフだ。


解体しても解体しても、残るのは、チャーリーのドラムサウンド

【チャーリー・ワッツこそストーンズのグルーヴの核】

という結論だった

その後、アンテナの高い、ミックが時代のグルーヴを取り入れても根底には、常に、チャーリーのドラム、キースのリフが鳴り響いている。ストーンズの唯一無二のグルーヴにしかならない。

チャーリー逝去のニュースを読んで、今のところの最新作であるブルーズのカバーアルバム『Blue & Lonesome』もストーンズサウンドの解体だったのではないかと確信している。

先日、ストーンズは、伝説のステージ、ブラジルリオの『A Bigger Bang – Live on Copacabana Beach』を突然発表した。チャーリーの病状を知ったメンバーがチャーリーのステージの記憶をファンへプレゼントしたのだ。違うだろうか?

チャーリーは、【自分はジャズ・ドラマーで、たまたま世界一のロック・バンドにいるだけ】と生前インタビューで答えているという記事を読んだことがある。ストーンズが単純な8ビートを演奏してもストーンズとしか言えないグルーヴになったのは、チャーリーのスィングするJAZZの香りがするからだ。
キースの代名詞である1本ギターの弦を取ってしまった、5弦ギターによる独特のリフは、足し算をしたがるロックに対して引き算の素晴らしさを教えてくれた。
同じようにチャーリーの有名なハイハット抜き奏法も同じ発想なのだ。叩かないことによるグルーヴを作りだしていたのだ。そんなことはなく、本当は、俗にいうただの省エネ奏法かも・・しれない

貴方の逝去から、僕はストーンズ漬け。貴方不在のストーンズの来日は行かないつもりだったが、その後のストーンズを僕は観に行きます。そこには、新しいグルーヴを聴かせる、ミック、キース、ロニーいると確信しているからです。

さようならチャーリー。ロックのグルーヴを教えてくれてありがとう。

注)文中のアルバム名、曲名はSpotifyから転記している
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