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親愛なる音楽へ

宮本浩次をはじめとするヒーローたちとの日常

ある日。
今日は朝から散々な一日だった。
はあ。
と、大きなため息をつく。
どいつもこいつも、勝手なことばかり。
あーもう。振り回される自分がバカみたいだ。
くだらねえ。
とつぶやいて、ふっと、笑みがこぼれた。
頭上に輝く大きな月を見上げて、にやりと笑う。
もう、大丈夫だ。
今日はちょうどお気に入りの白いシャツ。
憧れのあのヒーローのように、髪を掻きむしって走る。
「いつの日か」ではなく、私はもう輝いている。
明日からも、大丈夫だ。
月に照らされながら、走った。

ある日。
今日も仕事か。締め切り前の重圧に胃が重くなる。
うーん。できるだろうか。足取りも重い。
電車に乗って、ふとまわりを見ると、人が少ないことに気がついた。
あ。今って夏休みなんだ。
社会人のつらさを感じながらも、はるか昔の学生時代の
ある一日が脳裏をよぎる。
初めてのライブに向かって、胸をときめかせながら走ったあの日。
千葉県佐倉市からやってきた、“へなちょこ4人組”の残像をまぶたに描くと、
頭の中で、軽快なギターが流れ出した。
暑くて不快なマスクに感謝しながらニヤニヤして、
人の少ない駅のホームを、リズムに合わせて足早に歩く。
よし。今日の助走は完璧だ。
できるかだって? 容易く自分自身を値踏みするな。
胸に忍ばせたこの伝説の武器と一緒に、今日も戦場に向かう。

ある日。
ああ、もう。
なんなんだよ、お前がやれよ。
納得のできない事態にイライラしながら、デスクに戻った。
頭の中で、暴言を吐く。
ふざけた上司を全力で殴り飛ばして、足の下に組み敷く。
「K I L L Y O U」。硬いバットを、あたしにもちょうだい。
陽気な仲間たちのMVを思い出し、ふっと心がほぐれる。
ようやく自分が戻ってきた。
テンション上げついでに、替え歌。
「F U C K Y O U」。
大好きなロックンロールバンドのオマージュで。
バレないようにそっと中指を立てながら。
よし。大丈夫。
鼻歌うたって、ぬるっと仕上げてやるぜ。


―――
これが私の日常。
つねに頭の中では音楽が鳴って、自分だけのBGMが流れる。
自分だけの人生、映画のように主役の自分を彩るサントラ。
幸せなときも、それよりちょっと多い、ダメなときも。

いま、この暗い世の中で、音楽は嗜好品だとか、不要不急のものだとか言われて、
音楽業界は瀕死の状態になってしまった。
私はそれをサポートする術も力も持っていない。何もできない。
でも、こうやって、音楽で日常を彩り、音楽とともに生きている人間がいることだけは
ここに証明したい。

なにが「不要不急のもの」だ。
とてつもなく贅沢で、素敵な時間をくれるのが音楽だ。
ヒットチャートにのらなくても、歴史に名が残らなくても、
だれかの日常に寄り添えればいいよ
と言ってくれる歌が、きっとあると思う。

音楽が、大好きだ。

心からの感謝と愛を、音楽に携わる人と、音楽に捧げます。

―――
Section1:エレファントカシマシ『今宵の月のように』
Section2:BUMP OF CHICKEN『グングニル』
Section3:SiM『BASEBALL BAT』/a flood of circle『FUCK FOREVER』
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