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世界で1番大好きなドラマー、庄村聡泰に愛を込めて。

[Alexandros]の庄村聡泰(Dr)の勇退

  庄村聡泰(Dr)が『局所性ジストニア』により、[Alexandros]を勇退する事を発表してから数日が過ぎた。
 
私は今も尚、葛藤の中にいる。
 
当の本人では無い、1ファンである私が何を葛藤するものか。それさえも分からないが得体の知らない感情が未だに犇めき合っている。
 
でも、どうしても、世界で1番好きなドラマーに
心から敬意を込めて言葉を綴りたかった。
 
彼との出逢いから語るか?
発表を知った時の心情から語るか?
いや、そんな事に手を付けたら日が暮れるから
兎に角『庄村聡泰』という1人の人間の魅力について勝手ながら語らせて頂こう。
  
バンドというのは基本、1番後ろにドラムが位置している。ドラマーは終始座っているし、その場から動けない。物理的に見えづらく、1番最初に目につくのはやはりボーカルかと思う。
 
何を今更当たり前の事言ってんだ?と思われるかもしれないが、その"当たり前"をぶち壊す異質のドラマー、それが庄村聡泰である。
 
ドラムという枠を飛び越えた彼のプレイスタイルは、兎に角華があって圧倒的存在感を醸し出していた。

そもそも派手なドラムセット。彼の特徴でもあった信じられない程高い位置にあったシンバル。(千葉LOOKの天井に傷を付けるくらいに。笑)そして2018年の夏頃に変わった2つのバスドラムに拘り抜いたロゴが印象的なセット。

彼が座る前に"聡泰のドラムだ"って誰しもが分かるセンス抜群の……聡泰の言葉を借りるなら"コックピット"だった。

ピットインした聡泰はライブ全体を自由自在に操縦していた。人間の肉体構造的に不可能じゃないか?というくらい手数の多いドラムも、打楽器なのに綺麗なメロディを刻む様な的確で分厚いサウンドも、引き算の美学と称される余白さえ美しく聴こえる抜いたビートも、爆発力がありつつ実は繊細で気が遠くなる様な工夫が凝らされたアレンジも……どれもこれもドラム未経験者にも"聡泰のドラムは凄い!"と分かる程に素晴らしく、[Alexandros]の音楽を根底から支えてた。
(あまりにも手数が多いフレーズを華麗に叩く彼の事を私は勝手に"生きる千手観音"と呼んでいた。)

後ろだろうが、座っていようが、無意識に目を奪われ
てしまう魅力的で最高のドラマーであった。

更に。ドラムに限らず多趣味で博識で勉強熱心。一時期編集者を目指していたというだけあって語彙力も豊富で抜群のキレあるトーク。アパレルで働いていた経験を活かした垢抜けたファッションセンスにバンド仲間から口を揃えて言われる"優しい"性格。
それらから、聡泰の人柄の良さやカリスマ性は十分に伝わっていた。
 
川上洋平(Vo/Gt)が、2020年1月24日(金)の正午に発表された公式HPのコメントで
『人間としてもこんなに面白くて毒を持っている奴はいません(世間には"善い人"に映っていたけど、化けの皮を剥がしてやりたいです)。』
と語っていたが、それさえも凄く愛を感じる。

『You're So Sweet & I Love You』のMVでは、後半に川上洋平、磯部寛之(Ba.Cho)、白井眞輝(Gt)が、聡泰の叩くドラムセットを解体するイタズラなシーンがある。
しまいには靴や靴下まで剥ぎ取り、3人は笑い、聡泰はそれでもエアドラムを続ける。
私はこのシーンが個人的に大好きだ。
聡泰が愛され面白がられているキャラクター像や、周りがちやほやしてる空気感が1発で分かる。きっと、いつもこんな感じなんだろうと勝手に想像して微笑ましくなる。

他にも[Alexandros]のMVには多くのおまけ映像があり、『spy』では[Champagne]([Alexandros]の旧名)10周年で、お祝いコメントを言おうとした瞬間に顔面ケーキを喰らったり、『city』では腹を出した謎のダンスを披露したり。(のちにLINEスタンプに。笑)
ムードメーカーで、面白く、兎に角良いキャラをしている聡泰の良さが滲み出ていた。
      
そして、遡ること10年前。
聡泰は後から[Champagne]に加入した。

正直に申し上げると、聡泰加入当時の彼等を私は見た事がない。でも、"聡泰が加入して変わった"という声をよく聞く。今回の勇退の件があってからも改めてその言葉を複数回耳にした。
 
当時既にデビューが決まっていた[Champagne]。
後から加入する事はそう簡単では無かっただろう。

HPの川上洋平(Gt.Vo)のコメントにも、こう書かれていた。

『もう既にデビューは決まっており、ファンもつき始めていた中でのメンバーチェンジだったので、正直批判の声も多くありました。
事務所も心配したし、何より新しい戦いの場で我々メンバーに対してもすぐには馴染めなかったと思います。
そんな中でも彼は表情に出さず、受け止め、黙々と自分のドラムをぶつけました。
すぐに周りの期待や心配を越えていき、愛される存在に成り上がっていきました。』

この文章を読むだけで、如何に風当たりが強かったか、そしてその中でも"バンドが変わった"と言われるまで真摯にドラムと向き合った彼のひたむきな姿が伝わってくる。
 
ROCKIN'ON JAPAN VOL.458
2015年10月号の半生を語るインタビューで、
庄村聡泰は加入する前の事をこう語っている。

『(川上洋平にドライブに誘われて)幻のデモ盤が、血反吐吐きながら作ったような内容だったっていう話を聞かされて。[Champagne]が異質に見えた所以はそこだったんだなあ、みたいな。当時から4人暮らししてましたからね。俺からしてみりゃ超頭狂ってんなこいつら、みたいな感じではあった。そう……頭狂ってなかったんですよ、僕は。だからやっぱりだめだったんだなと思いました』
 
『ここで[Champagne]に加入しなければ俺のバンド人生はほんとに終わってしまうから、「5曲覚えて来て」って言われたスタジオでも、アルバムの曲は全部叩けるようにしていきました』
 
この言葉はずっと私の脳内に残っていた。
 
"超頭狂ってんなこいつら"
その感性は素直で、語弊を恐れずに言うならば正常な感覚だと思う。
でも、そこからそっち側、つまり狂ってる側に飛び込める程の練習量は、彼の真面目さ、ストイックさが為せる技だ。
 
あれだけ凄いフレーズが叩けるんだもの、生まれ持った才能なのかと思っていた。
でも違う。きっと、生まれ持った訳では無く全て努力と"ドラムが好き"その気持ちで自ら掴み取ってきたものだろう。

磯部寛之は『初めてスタジオで合わせた時既に"For Freedom"がライブアレンジになっていて、コイツやるな、と思った』と言っている。

そんな彼からドラムを奪った『局所性ジストニア』が憎くて仕方ないのだ。言葉は悪いかも知れないが。

どうしても悔しい気持ちが拭えない。

生活に何も支障が無くとも、ドラムだけが叩けないなんて、とんでもなく残酷な話だ。恐らく私には計り知れない程の絶望や葛藤があって自問自答の日々を過ごしていた事だろう。
 
でも、こんな逆境でも彼は彼だった。
 
(以下、HPのコメントより1部抜粋)

『ドラムは叩けなくなってしまっているけれど、自分が人生をかけたバンド活動に一切の後悔はなく愛おしく大切な日々をみんなと共有できた、と言う事実のみが残っていました。
その時に自分はこう思ったんです。
こんなに幸せな事はない、と。』

『そしてそう思えた今ならば、ドラムが叩けない自分の事もいつかきっと愛する事ができる様になる筈です。
今までみんなと共にした日々は、自分の誇りです。
なのでその誇りを胸に、[Alexandros]のドラマーではない自分も愛する事ができる様に、これからを生きていきたいと思っています。』
 
こんな時まで、悔しい程に良いことを言う。
マイナスな言葉は一切なく、ただ只管自分のバンド活動に愛と誇りを持ち、ファンやメンバーに感謝の言葉を連ねていた。脱退ではなく"勇退"という美しい言葉を背負い、『幸せなバンド人生を、ありがとう』と言える彼の強さに涙した。
ここまで言われたら『局所性ジストニア』でさえも憎めない。でも悔しくて。でも大好きで、ありがとうで、幸せで。そんなこんなで未だ葛藤の中にいるのだ。
 
勇退発表当日の夜、21:00から行われたYouTube生配信。久しぶりに[Alexandros]4人が肩を並べる姿を観た。

伝えるべき事をしっかりと伝えた上、湿ったい空気になる事もなく、昔話を懐かしみ、最後には楽しい雰囲気で大笑いして終わった。見てる私も画面越しに大笑いした。この何ヶ月分を溜めていたかの様に炸裂した聡泰節効いたトークが何度も笑いを引き起こしていた。配信が終わった直後に「あー面白かった」と思わず呟いた自分に驚いた。

私の元にも友人から多くの言葉が寄せられ、SNSでも沢山の言葉や反応を見た。どれもこれも聡泰を賞賛する声ばかりで、本当に最高なバンド、最高なドラマーに出逢えたと心底幸せを感じた。沢山ライブに行って、聡泰のドラムを聴いた日々は間違いなく私の財産だ。
 
『Dracula La』のラスサビで『不安を取り除いて』という歌詞の後にスポットライトを浴び、派手に連打するアレンジが大好きで、『Waitress,Waitress!』の心地好く跳ねるイントロに何度も歓声をあげた。『Famous day』の5人くらいが叩いてるんじゃないか?ってくらいドラムの音の洪水に呑まれ、『city』の迫りくるイントロのお決まりのアレンジに興奮した。『Come Closer』の不規則で抜きのあるビートを生で聴いて驚嘆し、『Mosquito Bite』のアウトロで息を飲むグルーヴに涙した。少しでも隙があればスティックを回す姿に惚れた。この曲のここが好きだ、なんて言い始めたらキリが無いが、聡泰のドラムに操られるかの様に酔いしれたライブは本当に最高であった。
 
聡泰のみならず、1番近くで彼を見てきたメンバーも非常に辛かったに違いない。でも孤高のロックを鳴らしていく彼等にはもう前しか見えていない。止まらずに突き進む一択だ。だから信じてついていく。
 
聡泰が[Champagne]、[Alexandros]と共に歩んだ10年間は永遠に変わらない事実であり、音源もずっと残る。何度聴いても色褪せない感動がそこにある。

『彷徨って 途方に暮れたって また明日には 新しい方角へ(Starrrrrrr)』進む彼等だから『いつの日か終わりが来ても かわしてそのまま突き進んで(Forever Young)』いけるのだ。

『敵いそうも無い 「壁」が立ちはだかって 僕の傷を望むだろう』『それでもきっと どうしようもないくらい 僕はそれを愛するだろう(NEW WALL) 』

HPのコメントからも、YouTube生配信からも。
そして今までの彼等のスタンスを見ていても。
この様な出来事を悪く捉えたり酷く落ちたりする様な事は無い。むしろ良い経験や人生の転機としてソレを好機に捉え全てをプラスの方向に持っていってしまう。そんな彼等だから、サラリーマン時代や路上ライブでお客さんがいなかった時代、バンド名の改名、どんな出来事にも屈する事無く只管"世界一のバンド"を証明する為に真っ直ぐ進んできた。

その信念が如何に確固たるものか。[Alexandros]の真の強さを改めて痛感させられた。

そして庄村聡泰という人間の素晴らしさにも改めて触れる事が出来た。

何度も言うがこんなに素敵なバンド、最高のドラマーに出逢えて幸せだったと、心の底から伝えたい。
そしてこれからも[Alexandros]、庄村聡泰共に応援し
こんなに素敵なドラマーが存在していた愛おしい日々をずっと語り継いでいきたい。

聡泰、ありがとう。
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