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この世界に愛をこめて

LAMP IN TERRENから貰った大きな光

2019年8月14日 不思議な天気だった。
MASH A&R主催のMASHROOM2019が
新木場STUDIO COASTで行われた日であった。
グッズに列を成していると、とてつもない大雨が降ってきた。しばらくするとこれでもかと言うほどの日差し。まるで光と影が交互に僕達を襲ってるかのようであった。

そんなこの日のライブで僕は大切な大切な
光との出会い―――LAMP IN TERRENとの出会いをすることになったのだ。

少し自分の話をさせて欲しい。
中学生だった僕はいわゆる優等生だった。
部長をやり、生徒会長をやり、勉学に行事に励んでいた。しかし、そんな人は同級生からは疎まれるのが現実なのだろう。
僕は部活の仲間に片付けを全て押し付けられ、彼らは練習をサボるようになり、悪口を言うようになった。
文字にしたらたった数行の出来事だ。でも、この出来事は小さな町の中学生には酷く大きく辛い出来事だった。この世の全てに嫌になるのに十分な出来事だった。
大切だと思っていた仲間に裏切られたのだ、僕はそれを機に人を信じるのが怖くなった。嫌われるのが怖くて誰かが求めるままの自分にならなくてはならないと感じた。自分はそうでないと生きる意味などない人間なのだと思った。
放課後が近づくと吐き気と頭痛を催すこともあった。夜は眠れなかった。
心も身体も限界だった僕は自傷行為を始めてしまった。多くの人はきっと馬鹿なことをしたと思うかもしれない。しかし、僕にはその痛みが血が流れることが生きていることを実感する唯一のものだったのだ。歪んでいるけど、本当にそうだったのだ。

僕は無事志望の高校に合格し、新たな生活を始めた。しかし心の影はいつまで経っても拭いきれることは無かった。友人と遊んでいてもどこかで遠慮をしてしまう、自分を出すことを躊躇してしまっていた。嫌われるのが怖い。人を信じるのが怖い。そんな思いは僕の心に強く根を張っていたのだ。

そんな時出会ったのが先程も述べたがLAMP IN TERRENだった。(以下テレンと表記)

お目当てのバンドは他にあった僕は、テレンの数曲を予習している程度だった。
決して長いとは言えないフェスの短い時間。少ない曲数。もちろん知らない曲も多くあった。
しかし、それは僕の心を照らすには十分すぎる時間だったのだ。
ステージ上に現れた彼らはどこか儚げな雰囲気を纏っていた。
「ダイブバージンを貰って!」ボーカルの
松本大さん(Vo&Gt)はそんなふうに言っていた。あぁなんて、可愛らしい、人間らしい人なんだろうと思った。
最後の曲の前 大さんはポリープの手術をしたことや辛かった日々について吐露していた。
そして鳴らした一音。ステージからテレンを照らす光。美しい、と思った。涙が止まらなかった。

《認めるための傷 増やす度に
命が泣いている》
《誰になろうとも 自分でしかないんだよ
臆病な僕はすぐ隠してしまうけど
思い出してよ この世でたったひとつ
僕の命が泣いている》―――BABY STEP
 
この曲は僕の人生を変える曲だと、そんな風に
ぼやけたステージを見ながら思った。

そこからは少ないお小遣いをやりくりしてライブに行った。
ツアー"Blood" 赤坂BLITZで行われたワンマンライブ"Bloom"双方に行かせていただいた。
いつ聞いてもテレンの音楽は僕を照らしてくれた。
彼らのライブに行くと素になってしまう。
自分自身をさらけ出していいのだと思う。
そして涙が止まらなくなってしまう。
それは彼らが自然体で僕らにぶつかってきてくれるからなのだと思った。
何も意地を張ることなく、彼ら自身をさらけ出して、僕らを愛してくれている。それ故に僕らも素になれる。そんなテレンのライブが好きだ。
オーバーフローという曲の前に大さんはこんなMCをする。
「この世界に愛をこめて。」

世界は理不尽で辛いことに満ちている。
今高校生になった僕ですらこんなふうに思うのだ。大人のメンバーや世間の人はもっと思っているだろう。だけどそれすらも彼らは愛そうとしている。それは自分自身を愛するよりももっと素晴らしいことで大変な事だ。
でも、音楽を奏でる彼らはそれを実現していると思う。キラキラと輝き音楽の花束を世界に向けて贈っている。

今年僕は受験生になってしまった。そのためライブには行けなくなってしまっている。(世間のライブ好き受験生はみんなそうだと思うが。)
ライブハウスはこのコロナ禍で批判されてしまっている。悲しい。でも、多くの人が音楽を守ろうとしている。僕もそれに協力したい。

また、授業が行われず、正直受験はなかなか厳しい部分がある。不安に再び胸が押しつぶされそうになることもある。
でも、僕はもう大丈夫だとおもう。
テレンが愛してくれた僕自身を愛そうと思えるから。この世界を愛するために、何かに貢献するために、立派な大人になろうと思えるから。
自分自身でいいと思えるから。
そんなふうに思って電車に揺られ登校する。
傍にはテレンが紡ぐ音楽がある。
彼らの大きな光がある。

彼らの音楽を聞く時僕は小さく呟く。
「この世界に愛をこめて」
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