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水彩絵の具の波紋のように合わさる三色

関ジャムでの大橋トリオさんとのセッション「HONEY」

関ジャムで放送された、大橋トリオさんとのセッション「HONEY」
大橋トリオさんを中央に、丸山隆平さんはボーカル。安田章大さんはボーカルとアコースティックギターで参加。
曲の始まり、大橋トリオさんがにこにこしながらアコースティックギターを弾く空気で、もう引き込まれていく。私はこの一瞬で森林浴をした?近くに川のせせらぎがなかった?と思うほど。

大橋トリオさんが以前「‪関ジャム」‬に出演された際、ピアノの前に現れた瞬間の衝撃がすごかった。呼吸さえ凪のように静かなままで、そっと椅子に座って、鍵盤に指を置いた。
すうっと息を吸って、空気を揺らした歌声はびっくりしてしまうほど穏やかで、霧のように追えば消えてしまいそうな繊細さを持っていた。

テレビにはあまり出演なさらない印象を持っていたので、再びの出演がこんなに早く実現して、それもスタジオで座る方として話をしているところを見られるなんて。
リモートでの‪関ジャム‬が続いて、スタジオ収録もセッションも2ヶ月半ぶりだった。
スタジオで話すからこその会話のリズム感が番組の味になっていて、セッションはひとつの場所に集まるからこそ起こる化学反応だと思っていた。だから、リモートで成立する企画を制作の方々が考えて、‪関ジャム‬として変わりなく楽しめていることに驚く2ヶ月半だった。
 
今回のセッションをきっかけに、「HONEY」という曲を初めて聴いた。
‪湖のほとりではためく洗いたてのシーツのような、息を含み澄んだ歌声。
楽器の音はかろやかに周りを跳ねていく。

“恋でもしたのかな”と歌う丸山さん。聴いたことのない丸山さんの歌声に、そんな顔をするのはじめて見た…と立ち尽くす感覚になった。
“虹色のシャワー”と大橋トリオさんの声に合わせてコーラスで歌う安田さん。声と声とが溶け合って、境目を探すほうが難しいくらいの美しいハーモニー。
安田さんを映す瞬間の歌詞が、どれもまさにぴったりで、カット割りまで丁寧に計算されていることに感動した。
アレンジも歌割りも、原曲があって、歌うご本人が実際に居る場でのセッションという非常に高いハードルのなかで、尊敬と挑戦を込めたものに作り上げているアレンジャーさんの素晴らしさを実感する。

このセッションで聴こえる丸山さんの歌声が、歌いだしから口を大きくは動かさない、控えめな発声をしていたことも驚きだった。
これまでは、グループで歌う時には低音でハモりをすることも多くあって、個人のパートやソロの曲では高音で歌詞をはっきりと発音して、パキッと響かせる印象のあった歌声。
ここにきてまだ、新たな一面に触れた気がしてドキドキが止まらなかった。
語尾を下げていくフォールの多いメロディーラインをすぅーっとなでていく音。霧を見ているような雰囲気で、フェードのかかった声。
丸山さんの歌声は語尾が上がる時にきらめいて、清々しく突き抜けるゴールデンラインは高めな音にあると思っていた。例えば「DO NA I」の時みたいに。
下がっていく声色で、こんなにも魅力を発揮するとは。同じ系統の落ち着いたトーンで言っても「Street Blues」とも違う、スモーキーな声だった。

そしてメインだけでなく、ハモりにも回っていた丸山さん。
歌の後半、“たった一つの 鍵を見つけたら”のところで、歌いながら左手で鍵盤を押さえる手の動きをしていて、
歌っている音程を確かめるように押さえる指を変えていたから、もしかして鍵盤で練習したの?と想像の範囲ではあるもののワクワクした。
  
安田さんが身体のために掛けているサングラスの色がいつもとは違っていたのも、今思い返すと空気感の変化になっていた。
レンズの色は薄めの、黒の細いフレームが印象的な眼鏡。
見栄えより何より体調を最優先にしていてほしいから、照明の明るさが眩しすぎてしまわないものを掛けていてほしいと思うけど、安田さんの選んだ眼鏡が今回はあのデザインだったなら、曲の雰囲気にコーディネートしたような素敵な眼鏡だったと思う。
  
メロディーがぐぐっと盛り上がって、
“ここから始まる物語さ”で、大橋トリオさんと安田さんが息を合わせてアコースティックギターをちょっと斜めに上げて、ジャンッとリズムを強調したのがとても好きだった。
セッションでは曲が短縮されているけど、メロディーの繋がりは保たれながら、見せどころもあった。
タイトルの「HONEY」の意味、蜂蜜というワードは、フルで聴いた時に耳にできる。

大橋トリオさんの歌声が、触れるのもためらうほど柔らかいから、セッションに参加する丸山さんと安田さんは、声の強さ、音色、速度をチューニングする繊細な作業が必要になったはずだと想像できる。
ひとつひとつの音が柔和で、ここに居たいと感じる空間が生まれていた。
水彩絵の具の広がっていく波紋みたいに、ふわりじわりと合わさる三色が美しい「HONEY」だった。
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