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BUMP OF CHICKENと断捨離。

死ぬまでここにいたいとわたしの魂が叫んでいる

久しぶりに断捨離をした。
 
何かを買い、何かを捨てる。日々の暮らしはその繰り返しなのだが、気が付くと今の自分には必要ないものがクローゼットに積み重なっていたりする。
買った時は欲しくてたまらなかったものたちも、時間を経て、それを欲した理由や意欲も遥か記憶の彼方だ。
 
仕事で失敗したり、ひとの目が気になって仕方がない時、なにかしんどいことが続いたり、気持ちの整理がつかなくてどうしようもなくなってしまった時、俄然、モノを捨てたくなる。

いろんなことが追い打ちをかけるように襲ってきて、自分が自分でいられなくなりそうだった週末、久しぶりに不要なものを捨てようと思い立った。大断捨離大会の始まりだ。
 
捨てるという行為には勢いが必要だ。
躊躇していてはダメなのだ。問答無用でただひたすら決断する。
 
景気づけに音楽を鳴らそう。
そうだ、今聴きたい曲たちでプレイリストを作ろう!

パソコンを立ち上げ、iTunesを開く。
勢いをつけるために、アップテンポの曲がいいな。

一曲目はもちろん“アカシア”。届いてまだホカホカ湯気をあげていそうなBUMP OF CHICKENの新曲だ。
元気な音が背中を押してくれる。

二曲目はこれもまだリリースされてほどない“Gravity”。
夕暮れのシーンでしっとりと始まるこの曲は、切ないながらも気持ちを奮い立たせてくれるサビが勇気を連れてくる。

そのあとは、アルバムのリリース年の新しいものから順に、手放す決意の背中を押してくれる勢いのある曲をリストに放り込んでいく。
 
“Aurora”
“望遠のマーチ”
“シリウス”
“新世界”
“GO”
“Butterfly”
“ray”

パソコンのマウスで曲をドラッグする。

“firefly”に“グッドラック”、“宇宙飛行士への手紙”も外せないな。“メーデー”は絶対。
“ロストマン”に“真っ赤な空を見ただろうか”も。
“ガラスのブルース”と“ダイヤモンド”は基本のキ。

あああ、選ぶのに迷っていたら時間が経つばかりだ。
はやく断捨離にとりかからんとアカンで、自分。

最後はなににしよう。
“プレゼント”ときて“flyby”かな。ちょっと勢いとは関係ないかもだけど。

曲を選ぶのが楽しくて、前日までのどんよりした気分も少しずつ晴れていく。

よっしゃー!!
いっちょ捨てたるか!
 
もう三年以上袖を通していない服や、また何かの折に必要になるかもしれないと残しておいた古びたタオルや下着もとりあえず床に積み上げていく。だいたい、また着るかも、また必要になるかも、の‘また’はやってきたためしがない。
衣類だけじゃなく、文具や紙類なども合わせて、クローゼットの隅から隅までくまなくチェックし取捨を決める。
 
19曲、1時間35分のプレイリストを何周しただろう。
収拾がつかなくなって、部屋の真ん中で茫然と立ち尽くす間にも、曲たちは流れる。
目の前に放り出されたあれやこれやは、昨日までの自分を写すかのように混沌としている。手にした時はそれらは確かに輝いて心を満たしてくれたものたちだったはずなのに。
今の自分にはもうそれらは輝かず、使い古したガラクタでしかない。
   
五年前に“ray”のMVでBUMP OF CHICKENと出会って、それまでの自分には想像も出来なかった世界が広がった。
ライブのために遠征するのも、Twitterで繋がったひとたちと実際に会ってBUMP OF CHICKENへの愛を語り合うのも、何もかもが新しかった。
選んだ道を後悔し泣いてばかりいた日々に光が差し込んだ。BUMP OF CHICKENの曲が連れてきた光だった。
 

洋楽好きの母の影響で幼い頃から音楽はいつもそばにあった。その時々に好きなバンドやアーティストはいたけれど、それはただ、好きでよく聞くという程度のものだった。

BUMP OF CHICKENは違った。

毎日パソコン、スマホで曲を聴き、日曜深夜のラジオ番組‛PONTSUKA‼’をストリーミングで毎週繰り返し聴く。待ちに待った新曲リリースのアナウンスがあるたびに、ちゃんと曲と仲良くなれるだろうかと少し不安になる。ライブで生身の彼らと音に触れることがひたすら待ち遠しい。
   
ひとりで暮らすと決心し家を出るきっかけとなった、とあるファッションブランドの広報誌的な雑誌があった。第五号を書店で見かけた時にふと手にとった、それが人生の転機をもたらした。創刊準備号まで遡って購入し、送った手紙を読者のコーナーに載せてもらったこともあった。これだけは絶対に捨てることはないだろうと思っていたけれど、今回、別冊と合わせて27冊のマガジンを手放す決心をした。
 
編集長のカリスマ性が魅力だったその雑誌が示してくれた生き方は、わたしにとって救いだったし支えでもあった。
でも、五年前にBUMP OF CHICKENと出会って、支えとなるものが変わった。
彼らの音楽がわたしの生活を一変させた。着るものも持ち物も、BUMP一色となっていった。
マガジンが提案するファッションを自分なりに取り入れて着ていた服も、出番が少なくなりやがてクローゼットの隅っこに眠る不用品となっていた。

今のわたしにはもう必要ないと思えるようになったその雑誌を古書店へ持ち込み、数冊の文庫本と共に買い取ってもらった。ほんの少しの後悔と、何年ものあいだ自分を支えてくれたものを手放してしまったさみしさとを、帰りに買ったアイスの冷たさで飲み込んだ。
  
━ゴールはきっとまだだけど もう死ぬまでいたい場所にいる━

━どんな最後が待っていようと もう離せない手を繋いだよ
 隣で(隣で)君の側で 魂がここがいいと叫ぶ━
 (BUMP OF CHICKEN“アカシア”より)
 
わたしは、BUMP OF CHICKENの曲たちと手を繋いだのだ、離せない手を。
そして死ぬまでここにいたいとわたしの魂が叫んでいる。
  
移り行く季節の中で溜まってしまったいろんなものを手放して、また新しい日々を生きよう。そう思えたのは、BUMP OF CHICKENの曲たちという大切な宝物があるからだ。
日本のあちこちに居る敬愛してやまない、BUMPが繋いでくれた友人たちもそうだ。
またいつの日か必ず、同じ宝物を間にして笑い合おう。
  
(蛇足でしかないオマケ━断捨離が済んだ翌日そのプレイリストに“分別奮闘記”が入っていなかったことに気付いた。なんということ!!なんたる失態!!)
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