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何処にも行けない世界にドラマを

SixTONES ファーストアルバム「1ST」感想

 「アイドルとは思えない音楽性の高さ」という文脈はある程度語りつくされた感がある2021年。近年のアイドルソングが標榜する音楽が王道ポップスという枠を超えて実に多彩な色を奏でていることは、音楽シーンに全く詳しくない私ですら肌で感じている。
 でも、そんな時代に、それでもあえてアイドルが放つ音楽性の高さを宣言したくなるほどのインパクトを持つアルバムに出会ってしまった。

 SixTONES ファーストアルバム、「1ST」だ。

例えば、「ST」は自問自答を繰り返しながら現実に挑む挑戦者。
「Curtain Call」は終わった恋を優しく手放そうとする大人の男性。
大切な人と楽しむほんのすこし刺激的で甘ったるい朝「Coffee & Cream」に、
今宵ナイトクラブのフロアを制する覇者「EXTRA VIP」。
そして、お互いに頭もカンも物分かりも良くて、
だからこそ気づいてしまった恋愛の終わりを描く「ってあなた」。

 このアルバム、どの曲を取っても映像が目に浮かぶのだ。耳に届くひとつひとつの音色にストーリーがある。試しに他の方の感想を検索してみたところ、歌詞解釈についての議論がとても多く見受けられた。それもきっと多くの人の脳内にドラマが生まれた証ではないだろうか。

 まず前提として楽曲のストーリーを想像させる表現力がずば抜けている。長いジャニーズJr.時代を現場重視、ビジュアルパフォーマンスの世界で戦ってきた彼らが地道に踏んできたであろうステージの数を感じさせるスキル。
 そしてなによりお洒落で上質な楽曲にストーリーを与える、圧倒的な「主人公感」。この天性のヒーローポジションこそが彼らの魅力なのだと思う。カースト上位とか一軍と呼ばれるような誰かの上に立つことで成り立つ相対評価のトップではなくて、誰と何処に立っていてもここが世界の真ん中だと思わせてくれる絶対評価の主人公。
 ずっと“少女漫画の王子様”みたいなアイドルを応援してきた私にとって、SixTONESが身にまとう“少年漫画の主人公感”はとても新鮮だった。

 活気を失った日常に突然現れたパラレルワールドみたいなCDを、窓のない寝室で何度も聴いたこと。これが2021年最初の想い出となった。窮屈なこの世界で、何処にも行けない気持ちをどこかに連れて行ってくれた彼ら。
 素敵な歌も、お洒落な音も、この世には星の数ほどあるけれど。こんなにも“映像を想像させる音楽”は、きっと稀有な存在。
 
  SixTONES「1ST」は、アイドル史上最高にドラマティックなアルバムだ。
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