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KALMAは、僕が持っていないものを持っている

たとえ住む世界が違っても

ある時音楽好きな同僚に最近のオススメを聞いたところ、KALMAを勧められた。ちょうど「名前知ってるけど聴けていない」カテゴリに入っていたバンド(名前の響きが似ているという理由で、FOMAREやKOTORIも同じ箱に入っている)だった。アー写やツアータイトルからほとばしる「青春」感に気圧されてなんとなくこれまでスルーしていたが、せっかくの機会なので聴いてみることにした。

いざ聴いてみると、自分はKALMAの曲の中にある瑞々しさを少しも持ち合わせていないことを思い知る。『素晴らしい毎日』の歌詞に出てくるような、《コーラを飲み/バスケをやり/くだらない話で笑い合う》人から一歩引いた位置に、いつも自分はいた。モンエナ、スマブラ、卓球、ヤードム、下世話な話に囲まれ、「ときに甘酸っぱく、ときにほろ苦いエバーグリーンな青春」に憧れと嫉妬の視線を向けていた僕にとって、KALMAの曲は世界が違っているように感じた。

それでも彼らの曲はなぜか自分に響いた。メロディや声から滲み出る素朴な感じはどことなくandymori感があって好みだし、何より彼らの淀みない言葉は何かとややこしく考えがちな自分にとってなんだかとても逞しく思えたのだ。人は自分に無いものを持っている人に惹かれるというが、僕のKALMAに対する見方は多分それと同じだ。

個人的に好きな曲は『雪のまち』。《雪になって 君の住む街に降れたら/わざわざ バスや電車に乗らなくてもいいのにね》というロマンチックなサビの歌詞に年甲斐もなくキュンとなる。「君」からの返信を待ち続ける「僕」のそわそわ感が、リアルな生活感のある歌詞で誇張なしに歌われているのも良い。先ほど「世界が違う」と書いたが、この曲に関しては「僕」の心情が痛いほどよくわかった。(24歳にもなってこんなんで大丈夫か自分とも思ってしまうが。)

一番新しい曲である『パリラリラ』も良い。友達や家族に対して《大大大大大大大事な》と歌える素直さがなんだかとても眩しくみえる。そしてカントリー調で風通しの良いサウンドには、《大大大大大大大事》に思ってはいるけどそれを素直に言葉に出せない、自分のような人間も含めてまるごと包み込んでくれるような懐の広い優しさがあった。

「若者であること」をストレートに押し出してくるバンドをあまり聴いてこなかったこともあって、KALMAとの出会いはここ最近で特に新鮮な刺激になった。だからといって「これからは人に素直になろう!」と切り替えるには僕はもう歳を重ねすぎたし、そもそもこれまで自分の歩いた道のりを否定する気はさらさら無い。ただ、彼らの曲の中にある瑞々しさをたとえ持ち合わせていなくても、それを受け入れることのできる大人になりたいなとは、常々思っている。
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