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矢野顕子さんの津軽海峡冬景色はこれぞカバーの醍醐味。凄かった

ひとつだけ 欲しいものはただひとつだけ きみの心の黒い扉ひらく鍵と清志郎さんは歌っていた

ライブ後半
『これは私の曲ではありません。が、矢野がやれば矢野曲。アレンジが気に入っています。聴いてください。〖津軽海峡冬景色〗』


会場からどよめきがおこる。後で調べたら、度々、ステージでは演奏しているが、レコーディングはされていないし、映像もなさそうである(あるならだれか教えてください)。

なので、昨年末のこのライブと、あまりにこのライブが素晴らしくて、年が明けてやはり配信のソロピアノ弾き語りライブでしか聴いたことがない

歌詞もメロディもすぐに浮かんでくるが、矢野さんの仰る通り、原曲はありながら完全な矢野曲としか表現のしようがない。
子供の頃から耳にこびりついているナンバーだけに、矢野ワールドには腰を抜かした。

僕の知っているなかでは、もっともその曲の解釈におどろいたカバーソングといっていい。
原曲はあるが矢野さんのオリジナルだ。

矢野さんをずっと聞き続けてきたかというと会場に集まった熱心なファンでは僕はない。
いや、なかった。

このライブを観るまではという過去形である。

今年は、矢野さんのライブに行く。
矢野ワールドを現地で堪能するのだ。

僕は、一昨年から患った心疾患があり、今はライブを控えるしかない。
なので現在はライブは配信だけにしている。
昨年末は洋楽を中心に配信ライブを観まくったが、最も印象に残った配信ライブの一本に矢野顕子さんの“さとがえるコンサート”を挙げたい。

例年はツアーであるがこの時世でたった一度のライブ。

そのライブを 妻が命名した 通称 半分あぶない部屋 である自分の部屋で観た。

コロナ禍が始まった初期、GWに、これはおうちライブを楽しむしかないなと ライブDVDと録画するだけして、さっぱり観ていないライブを大迫力で観ようと思い立った。

猫の額の広さしかないないのに大量にある<宝物>=<CD、本、服>を泣く泣く捨て、少ない予算にするためにすべて中古で揃えた(ここまで家から出ないで全てネットで済んでしまうところが時代である)。

おうちライブセット=<プロジェクター、壁一面のスクリーン、サラウンドアンプ、そして10のスピーカー>から矢野グループの演奏が鳴り響く。

半分あぶない部屋は、物は少なくなったが、本人も理解できないほどの配線でやはり、嫁さんから言わせると、さらに爆弾作っているような半分あぶない部屋になった。

矢野さんは、そのルックス、声、そして、その雰囲気からしてユーモアがあり、失礼な言い方であるが、コミカルな雰囲気も感じる。

思いつくままに歌詞、タイトルから連想するワードをあげると、ラーメン、バナナ、ごはん、バカボン、カエル、クリームシチュー。
矢野さんの雰囲気からするとぴったりだが、シリアスな感じはない。

実際、このステージ、オープニングは
〖バナナが好き〗、2曲目は、〖クリームシチュー〗食べ物の歌、そして、3曲目は〖ふりむけばカエル〗

気持ちが一気に明るくなり、矢野ワールドにあっという間に引き込まれる。
そして、僕が矢野さんを初めて知った、大ヒット曲、春咲小紅。拍手喝采。

矢野さんが、ピアノをポロロロンと弾き語る。静まり返る会場。何かありそうだ

『意味ありそうにピアノを弾いてるでしょ。本当は、こうやって息を整えていました・・・』
ユーモラスなMCに会場が笑いに包まれる。
そして、再び静寂

〖PAPER DOLL〗

作詞 山下達郎

【いつまでも 一緒だと 囁いている 君はただ】

おーこれは僕の大好きな達郎さんのPAPER DOLLではないか・・・達郎さんのカバーをこんな会場でやる人がいるんだ。これは、ハードル高いだろう・・・・

が、完全に矢野曲である・・・ワンコーラスを弾き語りで歌い、そこに不穏な雰囲気、哀愁を感じる名手小原礼さんの超低音のベースが腹に響く。

そして、名ドラマーの林立夫さんの最高のグルーヴが絡み、達郎さんのバンドでお馴染みの佐橋佳幸さんが達郎さんの敬愛するカーティス・メイフィールドを彷彿させる素晴らしいワウギターを弾く。

これは反則だろうと思うほどの素晴らしい最高のグルーヴ。

そして、そのグルーヴにのって、中盤の世界最高のJAZZピアニストの1人である上原ひとみさんとタイマンバトルする矢野さんのピアノソロに、スキャットのボーカル。
これが、ライブの醍醐味だ

楽しげだった会場の空気を一気に変えた。全身に鳥肌が立つ。

クワイエットでありながら観客、画面越しの僕たちをも圧倒する迫力。
そして、会場を静けさに包んだ後、前半のクライマックス、この日、この世界に矢野さんがその想いを届けたかったであろうナンバー〖PRAYER〗

〖PRAYER〗

作詞 矢野顕子

【私の目が閉じられてゆく時が来ても
あなたの声も 指先も 心も
愛に包まれているように

時を越え 空を越え たどりつくから
降りつもる悲しみに 負けることなく

祈ることだけ
今 強く願うことだけ
あなたが 今日も 明日も いつまでも
愛に包まれているように】


ツアーがなく、リハーサルも十分できなかったであろうから、声が途中でかすれたが、それが矢野さんの想いをより深く感じさせる演出にも感じてしまうエモーショナルな熱唱。
会場は静まり返った。

初老オヤジがいうと、家族にも気持ち悪がられるが、今は、祈ること、そして愛しか残らないのだ・・・・・そう確信した。


後半、前述の津軽海峡冬景色。
そして、〖ラーメンたべたい〗、ラストナンバーの愛にあふれた、

〖ひとつだけ〗・・・

清志郎さんとの共演の映像も公開されているが、いつ聴いても愛を感じる。脳裏に清志郎さんの姿がよみがえる。会場の観客の皆さんもきっと矢野さんも清志郎さんを思い浮かべていたに違いない。切ないのである。最高のラブソングだ。


アンコールは、矢野さんにしか作れない歌えない〖ごはんができたよ〗
そして名曲、〖GREENFIELDS〗

会場にいたかった。時節、体調仕方がない。
が、最近は、配信ライブだからこそ観れる洋楽のミュージシャンが沢山いるので、一人静かに音楽に向き合うのも悪くないと思うことにしている。
次にどのライブに行くか選定時間なのだ。

この時代は必ず終わる。
そして、僕は来年矢野さんのライブで〖ひとつだけ〗を涙して、聴くのだ。

矢野さん、ごめんなさい
隣に清志郎さんがいる気持ちで聴きますね。


〖ひとつだけ〗
作詞 矢野顕子

【 略

欲しいものは ただひとつだけ
あなた(きみ)の心の 白い扉(黒い扉) ひらく鍵

 中略

悲しい気分の時も わたし(ぼく)のこと
すぐに呼び出してほしいの(よ)
ねぇ おねがい

 中略

けれども今 気がついたこと
とっても大切なこと
一番楽しいことは あなた(きみ)の口から
あなた(きみ)の夢きくこと oh…

離れている時でも わたし(ぼく)のこと
忘れないでいてほしいの(よ)
ねぇ おねがい】

注) 歌詞の( )内は清志郎さんが歌うときの歌詞


食べ物のうたばかり、聴いていたので、妙に腹が減った。
ラーメンだ。
矢野さんの〖ラーメンたべたい〗は、透き通った、鶏がらスープのイメージ。

が、この日、僕は小学生の時に、家に帰って、宿題もせずに、ソフトボールの練習に飛び出す(田舎は野球はやらないんだな男の子はソフトボールで、女の子はフットベースをやる)自分を思い出した。

お腹がすくので、母親が、昼ご飯をたべさせてくれた。
それは、インスタントの袋メンだった。
テレビで最後の晩餐はということを 有名人が聞かれている場面をみて、僕は今までさっぱり思いつかなかったが、あーこのインスタント袋メンだと確信した。

近くの深夜までやっているスーパーに袋メンを買いに行き、具なしで一人こっそり食べた。

矢野顕子さんのコンサート、袋メン、最高の一夜だった。
手術をして、心配をかけた年老いた母親を思い出した。いい年になっても親は親、子は子である。

僕も親になって、子ももう自分の人生を生きる年ごろだ。
が、もう少し、健康でいたい。

味音痴で本当に美味しいものなどわからないけど、温かいものをお腹いっぱい食べる。
これほどの幸せはあるだろうか。
そんな日常の何気ない幸せを矢野さんの歌は想いださせてくれる。

食べ物に音楽があれば、僕はきっと大丈夫だ。
なんでもいいからお腹をいっぱいにして、まだまだ聴きたい曲、そして観たいライブが沢山あるので僕は生き抜こう。

愛しか残らない。
そんな歌を聴きに行くんだ。
きっと最高の時間だ。

そうそう、矢野さんにはカバーアルバムが数枚ある。カバー曲も多い。
聴いてみてください。

ツェッペリンの〖胸いっぱいの愛を〗から佐野元春さんの〖SOMEDAY〗等。

滅茶苦茶な選曲だけど、凄いとしか表現のしようがない矢野さんのオリジナルなカバーばかりだ。



しかし、呆れた、自分に

今、僕は、この文章を書きながら、アルバム〔矢野顕子、忌野清志郎を歌う〕を聴いて清志郎さんを思い出して涙ぐんでいる

今こそ 誇り高く生きる ときだね。清志郎さん・・・矢野さん・・・
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