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あらゆる距離をこえて

BUMP OF CHICKEN「Flare」

"もう一度起き上がるには やっぱり
どうしたって少しは無理しなきゃいけないな"

BUMP OF CHICKEN結成25周年である、2021年2月11日。
その日にリリースされた新曲「Flare」は、少しため息の混じるようなフレーズで始まる。爽やかで清々しくて、切なくて、ほんの少し不穏なメロディが、何故か、どうしようもなく春だなぁ、と思う。

不思議だ。
届けられた新しい音楽を聴くたびに、どういうわけか、自分の置かれた状況と、それに対するどうにも苦い気持ちを拾われる。世の中の状況とはあまり関係ないところで、日々することに追われて、ぽろぽろと落としてきてしまったことがある。それを取り戻すには、どこかで多少なりの無理をしなくちゃいけない。そうなのよ、そうなんだよね。

BUMP OF CHICKENは、私にとってとても遠い存在だ。
結成から四半世紀という長い時間、生まれた音楽と真摯に向き合って、それを丁寧に届けてきてくれたこと。そうして沢山の幅広い世代のリスナーが、彼らの音楽を愛しているということ。
私だって私なりに、自分の役割を毎日踏ん張って生きているわけだけれども、特別な名前があるわけじゃないから、事実として、彼らはとても遠い。
だけど、「Flare」を聴いて私が一番強く感じたのは、「近さ」だ。
どこかの帰り道とか、ちょっとした隙間の時間に、公園のベンチに座って、なんならもう道端で立ったまま、その辺の自販機で、缶のコーヒーとかコーンポタージュとかを買って、もそもそとおしゃべりをする。こうすればいいんだろうけどね、とか、まぁなかなか上手くいかないもんだね、とか。もう冷え切った最後のひと口を飲み込んで、また今日の続きを、各々の場所で踏ん張るための、取り戻せないほど溢れてしまわないための時間。受け取ったのはそういう、距離の近さ、気持ちの近さだった。

といっても、歌詞そのものは、聴き手に語りかけてくるようなものではない。
「あなた」という言葉が出てくるのもたった一度きりで、さぁどうやって歩いていこうかと向き合っているのは"自分自身"だ。

それでも「誰か」を、BUMP OF CHICKENの音楽や彼らを近くに感じるのは、それぞれがそれぞれの場所で、状況や理由は違っても、眠れない夜を越えて、越えたのに何にも進んでいないように思えて、そういう日々でも繋いでいこうとする人がいることを、自分だけじゃないと思えるからなのだろうと思う。

"一人じゃないと呟いてみても
感じる痛みは一人のもの"

痛いのも辛いのも、どれだけ近くにいても、分け合えるものではない。
でも同時に、こうして歌ってもらえたことで、ああ、やっぱり1人じゃないんだなと思えるし、またぼちぼちやっていきましょうかね、なんとかまだやれるかな、と思えるのだ。

* * *
この場をお借りして、BUMP OF CHICKEN結成25周年、おめでとうございます。
自分の中の、弱くても確かに燃える灯を思い出させてくれたのは、BUMP OF CHICKENの音楽です。
大きな大きな感謝と、この先にも沢山の笑顔と実りがありますように、心から祈りをこめて。

(文中で引用した歌詞は全て、BUMP OF CHICKEN「Flare」より)
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