4729 件掲載中
この数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。

ひたむきさの中にある力強さ

BABYMETALの武道館公演4月14日

2021年4月14日、日本武道館のステージに立つ二人の姿を見て、四年前のことを思い出した。
それは、2017年12月の広島でのことだった。
たった一人で「GJ!」を舞ったMOAMETALと、絶望の光を歌い上げたSU-METAL。

YUIMETALがいない中、一人ひたむきにパフォーマンスを続けるMOAMETALに向かって、私は何度となく声援を送った。無意識のうちに彼女の名前を大声で叫んでいた。

一方で、
広島での公演には、被爆の絶望と復興の希望という広島の現実が反映されていたように思う。
それが、広島で生まれ育ったSU-METALの思いだったのかはわからない。
ただ、彼女が「さくら学院」の頃に書いた日誌を読むと、広島への思いが伝わってくる。

  8月6日は 毎年 登校日です。
  この日、広島では平和記念式典があります。
  8時15分には黙とうをします。
  夜には灯篭流しがあります。
  私が今こうした歌えることも、笑っていられることも
  平和だからだと思います。
            ~さくら学院日誌 2010年8月6日「広島」より引用~

こういう思いがあるからこそ、彼女が「NO RAIN, NO RAINBOW」を歌う時、苦しみや悲しみを思う切なさと、悲惨な状況を乗り越えようとする、ひたむきな力強さがある。

  絶望さえも 光になる
  止まない雨が 降り続いても
  絶望さえも 光になる
  悲しい雨が 虹をかけるよ
  どこまでも

あの時と何が変わったのだろう。

2021年4月14日、MOAMETALは「GJ!」を一人で舞い、SU-METALは絶望の光を再び歌い上げた。
長年のパートナーを失った現実、そして、もう一方では、コロナ禍という苦しい現実。
それが今の状況だ。

それでも、二人はひたむきで力強かった。

MOAMETALは「GJ!」で会場全体を一つにしようとしていた。
私たち観客は、コンサートなのに、今は歌うことも声援を送ることもできない。
歌がなくても声援がなくても、会場全体を一つにする方法。
それが、「GJ!」での手拍子だった。彼女は曲に合わせて、観客に手拍子の合図を送った。
その合図に呼応するように、観客が手拍子を送る。すると、それは声のない声援となって、会場全体に響き渡った。
かつて、MOAMEATLはMTVのインタビューで、
「BABYMETALで世界をつなぐ架け橋になりたい」と語っていた。
その思いは、おそらく、ずっと変わっていない。
彼女は架け橋のような存在だ。

一方で、SU-METALの歌い上げた絶望の光は、今の現実を直視している。
彼女が「絶望さえも光になる」と歌う時、何かほんの少しだけ、絶望の先にある小さな光が見えてくるような気がする。
まるで、暗闇に包まれた洞穴の隙間に、少しだけ明かりがさすように。
その明かりを頼りに外に出ることができれば、虹色に輝く希望の架け橋が見えてくるのかもしれない。

つい先日、水泳の池江璃花子選手が日本選手権で4冠を達成した。
白血病という絶望を、オリンピック出場という希望の光に変えた、彼女の力強さ。
それは、彼女が「今、自分にできること」にひたむきに取り組んだ努力の結晶である。

音楽であれ、スポーツであれ、ひたむきさの中には力強さがあり、そして、強さがあれば、その先には希望が見えてくる。

武道館公演の数週間前のことだ。今年もまた桜が咲いた。自然は毎年変わらない風景を見せてくれる。ひたむきで美しく、そして力強い。

  さくらが満開になりましたね
  電車の中から、空に向かってみんなで
  綺麗にのびるさくらを見るたび
  元気をもらいます

  私たちも同じかな?
  ひとりの力は少ないけど…
  みんなだったら きっときれいな花を
  咲かせることが出来る!!!
  そう信じて、ただいま レッスン中です
          ~さくら学院日誌 2013年3月24日「さくら」より引用~

SU-METALのひたむきさが伝わってくる心に残る言葉。
この言葉が、きっとBABYMETALの音楽の根底を形作っている。
そして、そこにはもう一つ、MOAMETALのひたむきさが、確かに存在している。
  • 投稿作品の情報を、当該著作者の同意なくして転載する行為は著作権侵害にあたります。著作権侵害は犯罪です。
  • 利用規約を必ずご確認ください。
  • ハートの数字はTwitterやFacebookでのリツイート・いいねなどの反応数を合算して算出しています。
音楽について書きたい、読みたい