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「夏の名前」のその後

櫻井翔が見た下車後の風景

嵐の名曲、「夏の名前」。今年、彼らがいない夏を過ごすファンにとっては手放しがたい一曲だろう。「My Friend. Dear Friend.」と歌っているから友達同士なのかと思いきや、指をかさね、キスをした、とくる。当時の嵐の年齢にしては少し湿っぽい印象だった。もっとさわやかな恋愛ソングを歌っていそうだ。しかし彼らの手にかかれば途端に視界が開ける。まだ少し癖のある二宮と松本、幼さが残り声が鼻にかかった相葉、喉をこするような音が混じる櫻井、端正ながら哀愁を帯びた声色の大野。歌声はサビまで重なりきらないが、重なった時の嵐の声色というのは、既に、ファンでなくても聞いたことのあるあの声だ。夏の湿っぽさ、別れ、若者の弾けきれない青春。

ただ、この曲には思わぬ変化球がある。多くの人が別れの歌だと思っているはずだし、かくいう私もそうだった。「バスの行くアナウンス 流れてきた」「でもたぶんもう戻れない」彼は行ってしまい、おそらく思い人である彼女は故郷に残ったのだろう。「君と出会ったこと 離れても忘れない」というが、連絡が取りやすい現在でも遠距離恋愛は本当に厳しい。彼は戻ってきたのだろうか。
この曲で忘れてはならないのが、櫻井翔が作詞を手掛けた「サクラップ」の部分だ。彼のラップ詞部分を抜粋すると

現在降り立つと 草の薫り
季節もされど 僕も青い
記憶をまとい 糸を辿り
景色運びし 君の香り
光を背負い 影が向いた
心のうちは 何故熱いか
肩に気づく 汗が付いた
あの頃の様 また一つ 風が吹いた

櫻井が2004年頃にやっていたラジオ番組、SHO BEATで本人も語っていたが、彼はこの二人のその後を描いていた。あの頃自分が去った場所に、バスのステップを降りて戻ってきたのだ。この曲の冒頭に あの時と同じような 風が吹いた とあるが、これは別れの時に思い出した、二人の思い出の中の風と同じだったのだろう。そして帰ってきた彼は、その時のような風をまた感じるのだ。そこに現れる影なら、一つしかないだろう。季節もされど 僕も青い というところに櫻井翔らしさ(時に交える自虐、俯瞰。「温室の雑草」など)を感じるが、自分を投影した景色、映像を見ながらラップ詞を書くという彼らしい詩だ。彼はきっと、プール際でした約束を守り戻ってきたのだ。

嵐がした約束も、律儀な彼らなら守ると信じて、この夏を過ごそう。
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