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今の僕からあの日の君に

「plums」の「ナンバー」にまつわるエピソード

就職して、数年が経った。
毎日通勤することにはすっかり慣れた。というより、少し飽きてきた。
近頃は、同じニュースばっかりだし、出掛けられず、部屋にこもることも多い。
世界が狭くなってしまうようにも感じる。

そんな折、「plums」の「ナンバー」という曲を聞いた。

「plums」のボーカルであり、「ナンバー」の作詞・作曲を務めた吉田涼花は、この曲の経緯をラジオやインタビューで語っていた。
小学生の頃、リュックをボロボロにされた出来事が、もとになっているらしい。

僕にも、ふと思い出したことがある。

小学生の頃、リコーダーのテストがあった。簡単な課題曲を、先生の前で演奏した気がする。そして、合格したら、先生がリコーダーにシールを貼ってくれるのだ。
ある日、同じクラスの男の子が、僕のリコーダーを取り上げ、そのシールを剥がそうとした。僕はそれを阻止しようと、揉み合いになった。その後、二人揃って先生に叱られたのである。

なぜ彼はシールを剥がそうとしたのか、なぜ僕らは叱られなければならないのか。
たったそれだけのことなのに、モヤモヤとして、未だに忘れられないでいる。

学校というのは、とても不思議な時間だ。
同じ通学路、同じ教室、同じ席、同じ友達…。
1日の大半、ほぼ毎日、学校という時間を過ごしていた。

そんな閉ざされた日々。そのループがささくれて、鈍い棘のように、心に引っ掛かっている出来事は多々ある。
鉛筆の芯やゼムクリップ、キーホルダーのチェーン、ほつれたブレザー、色褪せたウィンドブレーカー。

昇華できない出来事の数々が、折り重なり、息苦しく感じていた。
そんなふうに学校で過ごしていたことを、思い出した。

<制服の中は透明だ/脱ぎ捨てた僕は空っぽだったんだ>

学生時代はとうに終わり、気付けば新たな渦の中にいる。
相変わらず虚しさがベタ付く日々であるが、割り切って、息をすることも覚えた。
そんなふうに、生きている。

答えがなかったあの日々に、答えはいらないという結論を与えられるのなら。
もしかしたら、今なら、出来るかもしれない。

<君にうまく伝えられたかな/僕らは知りたいことがあるんだ>

今の僕から、あの日の君に、なんと伝えようか。
今の僕に、いつかの君は、なんと伝えてくれるだろうか。

そんな言葉を想像するだけで、少し未来は明るくなる。
気がしている。
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