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Prayers

BUMP OF CHICKEN『ロストマン』と自分を重ねて

『状況はどうだい』

僕は僕に尋ねる。

可もなく不可もない。
そこには、非日常が日常である事実だけ。


世の中の歯車が狂い出してから、早1年。
私たちは、見えない敵を理由にそこにいる人を傷つけ、そこにいる人に傷つけられてきた。

僕もそうだ。

目まぐるしく移りゆく大学生活、フェス、ライブ、観光業界、その他多くのイベント。

誰もがあらゆる手を尽くすも見えない敵の前で目を瞑った。

そこで揺れ動く、感情で私も精神的に憂鬱になったり、やるせない気持ちをどことなくぶつけたりした。

でも、揺れ動く感情の中で、普遍的で寄り添ってくれる音楽があった。


BUMP OF CHICKEN『ロストマン』。


状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを 今も 思い出せるかい

-ロストマン


旅の始まりはいつだろうか。
生まれた時?義務教育を終えた時?
わからない。
ただ、一つ言えるのはこの曲は普遍的であるが故に、旅の始まりは人それぞれであるということだ。

僕が中学3年生で始めてBUMP OF CHICKENと出会った年の『ロストマン』は、来年の高校1年生が旅の始まりだったし、高校3年生で部活を引退した年の『ロストマン』は、来年の大学1年生が旅の始まりだったに違いない。

とにかく、普遍的であるが故に、『ロストマン』はいつだって当時の自分を奮い立たせてきた。

中でも今回は、この情勢が始まった去年の4月頃、個人的には大学1年生の新生活の『ロストマン』を舞台に書いていく。


選んできた道のりの 正しさを 祈った

-ロストマン


旅が始まったこの1年はとにかく、自分を見つめる機会が多かったと思っている。
大学選びから始まり、そこで選んだサークル、自粛生活の楽しみ方、会えない人との距離の置き方など、数え出したらキリがないが、とにかく様々な選択で迷っては、正しいことを祈った。


いろんな種類の 足音 耳にしたよ
沢山のソレが 重なって また離れて

-ロストマン


その選択の中から聴こえてくる歓喜や悲鳴の連続に、僕たちは一喜一憂を繰り返してきたと思う。
時に異口同音に聴こえることもあれば、はたまた不協和音として散ることもあった。


淋しさなら 忘れるさ 繰り返す事だろう
どんなふうに夜を過ごしても 昇る日は 同じ

-ロストマン


正しさを強く強く願えば願うほど、今の状況に納得いかない過去の自分(君)との葛藤も、割り切ることでしか抑えられず、結局可もなく不可もない日を繰り返してきた。

それでも、いつだって展望はある。

大学を対面で行うこと、
フェスやライブに行くこと、
旅行に行くことなど。

それら夢のカケラを信じて待つも、気づいたら1年を過ぎていた。


破り損なった 手造りの地図
辿った途中の 現在地
動かないコンパス 片手に乗せて
霞んだ目 凝らしている

-ロストマン


しっかりと歩んできた軌跡がある。
相変わらずの方向音痴。
たくさん迷った。
どうなってしまうのかわからない今の状況でも、目は閉じることはなく、しっかり先を見据えている。


君を失った この世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いていたって 気付かないフリをした

-ロストマン

この情勢を迎える前の過去の自分(君)はもうそこにはいない。

学校に何気なく通えていたこと、
ライブやフェスで身体を使って声をあげていたこと、
後先考えず旅行を楽しんでいたこと。

これらを失ってた今、どうすればいい?
僕は未曾有の出来事を前にして、迷っている。

けれども、僕を含め、誰しもがそれに気づかないフリをしている…。



状況はどうだい 居ない君に尋ねる
僕らの距離を 声は泳ぎきれるかい

-ロストマン


過去の自分(君)に尋ねるも、羨望が募るばかりで、か細い声は涙に揺られている。


忘れたのは 温もりさ 少しずつ冷えていった
どんなふうに夜を過ごしたら 思い出せるのかなぁ

-ロストマン


学校に行けば隣に友達がいること、前に先生がいること。
ライブやフェスに行けば隣にファンがいること、前に大好きなアーティストがいること。
旅行に行けば隣に同士がいること、前に絶景が広がっていること。

そういう『事実』よりももっと深いところで『温もり』ってやつは時間と共にどんどん冷めていく。
『事実』を思い出せても、『温もり』を思い出せない切なさが記憶の限界であることを痛感する。


強く手を振って 君の背中に
サヨナラを 叫んだよ
そして現在地 夢の設計図
開く時は どんな顔

-ロストマン


もう過去の自分(君)に羨望するのはやめよう。
これから訪れる世界は『それまで』の世界ではなく、あくまで『これから』の新世界。

そこで学校に通う。
そこでライブやフェスに行く。
そこで旅行に行く。

変わった世界で同じ夢を追う。


これが僕の望んだ世界だ そして今も歩き続ける
不器用な 旅路の果てに 正しさを祈りながら

-ロストマン


もちろん、望んだ情勢ではなかったが、その変わり果てた世界で、再生ではない、新たな世界を望んだのは紛れもない事実。
ここまでも決して器用に歩き渡れなかったが、とにかく自分の選んだことだけ信じたい。


時間は あの日から 止まったままなんだ
遠ざかって 消えた背中
あぁ ロストマン 気付いたろう
僕らが 丁寧に切り取った
その絵の 名前は 思い出

-ロストマン


僕の記憶は、この情勢が始まる前で止まっていた。
高校の校舎、BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark、ROCK IN JAPAN FES.2019、三重県観光…。

何もかも失ってきた僕らがこれまでゆっくりと紡いできたもの、それらは決して羨望でもなければ、戻りたい過去でもない、今となっては『思い出』。


強く手を振って
あの日の背中に
サヨナラを
告げる現在地
動き出すコンパス
さぁ 行こうか
ロストマン

-ロストマン


あの日の自分(君)にサヨナラを。
今から動き出すのは迷いを捨て、方向を定めた、何もかも失った、けど強い自分。

さぁ行こう!


破り損なった 手造りの地図
シルシを付ける 現在地
ここが出発点 踏み出す足は
いつだって 始めの一歩

-ロストマン


諦めかけていた対面授業やライブやフェス、旅行などの夢のカケラ。
情勢は時に厳しく、でも、まだ諦めるのは早い。
自分の位置を把握して、やること確認して、今は我慢。
この情勢が終わった時、ここが間違いなく出発点。
初心を忘れず、いつやってくるかわからない出発に向けて用意を周到に行うこと。


君を忘れたこの世界を 愛せた時は会いに行くよ

間違った 旅路の果てに

正しさを 祈りながら

再会を 祈りながら

-ロストマン


いつか、きっといつか、この世界にまた希望が宿った時、忘れかけていた過去の自分(君)に必ず報告したい。


『僕はここにいる。』って。


決して正しい世界とは言えず、むしろ混沌とした間違った世界でも、いつだって自分が選んだことに強い自信を持ちたい。

いつかわからないこれから訪れる新世界が、あの日の自分(君)と重なった時、僕はあの日の自分(君)にまた会えるのだろうか?

わからない。


けど、会うことが重要なんじゃない。
会えることを信じて祈り続けることが大事なんだ。
そしたら、きっと、世界はいい方向へと僕らを連れていってくれる。

他力本願かもしれない。
けれども、1人1人のその祈りが身を結んだ時、果たして他力本願と言えるだろうか。

それもわからない。

ただ一つわかること。

わからないことだらけのこの世界、
いつだって僕らは迷子だけど、
自分で選んだことは強く信じて。

こんな僕からのささやかな祈りです。
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